なぜ人はマウンティングをやめられないのか
では、なぜいわゆる“中途半端な偏差値エリート”に限って、このようなエリート・コンプレックスを抱きがちなのか? この傾向は、自分の絶対的価値に自信がなく、子供のときから自分が褒められ、また怒られる基準がそれらの社会的相対評価に限定的だった人に多い。
そして“自分に価値がある理由”を必死に探す苦しみの中で、心の中でのメンタルカーストを、自分が上に来るような基準で設定した結果、立派すぎるマウンティング・ゴリラに成長してしまったのである。
皆成功しているように見えるSNS
マウンティング・ゴリラたちの生態について、もう少し詳しく書こう。彼らは、ビジネスクラスのラウンジを使っていることが人生最大の誇りの源泉であり、羽田空港のサクララウンジから、カレーの写真(ここのカレーがおいしいことは、このラウンジを使う人の中では有名)をアップして“リア充”ぶりをアピールする。
そして機内では、ウェルカムドリンクのシャンパンを片手に、180度倒れるフルフラットシートで足を伸ばしている写真をアップして、“ビジネスクラスに乗っているVIPな私”を大々的に演出するのだ。
もちろん、生まれも育ちもドメドメ(日本生まれ、日本育ち)で、フェイスブックの人間関係も9割がた日本人なのに、なぜだかSNS投稿はすべて英語である。最悪のケースでは、地元の友人からの小学校の同窓会の連絡に、なぜか英語で返してしまうマウンティング・ゴリラたち。想像しただけで「ドンドコドンドコ」、胸を大きくドラミングしている勇姿を思い浮かべてしまうが、彼らの飽くなきマウンティングはまだまだ終わらない。
実は自分が泊まるのは4スターホテルでも、近所にあるマンダリン・オリエンタルホテルのロビーにいそいそ出向き、「マンダリン・オリエンタルホテルにチェックイン」という記しをフェイスブック上に残す、マウンティング・ゴリラたち。
そして「今日も忙しかった〜 誰か今、香港のマンダリンオリエンタル本館近くにいたら、連絡してね!」などと、“たまたま周りに知人などいるわけがないのを重々承知の上で、ひとアピール”食らわせ、100万ドルの夜景を背景に、深夜にドンドコと雄叫びを上げるのである。