トランプ政権は「疑惑のメガ・モール」

この通り、意外に思われるかもしれませんが、移民が納税する額は、移民が受ける社会保障の額を上回り、国の財政へ利益をもたらすことの方が多いのです。

まあ、考えてみれば当然の結果かもしれません。移民は、教育費などで税金がかかる幼少期を母国で過ごしてから、生産力のある大人として仕事をしに来るものですから。

では、助けを求めに来る難民についてはどうでしょうか? 実は2017年にアメリカ政府がその計算をしています。過去10年間で難民が納税した額から、難民が受けた公的サービスなどの政府出資額を引いたところ、これも630億ドル(約7兆円)の黒字だということがわかりました。難民も経済に貢献しているのです。

しかし、そうとわかっていても、トランプ政権は納税額の数字を無視し、出資額だけにスポットを当て、アンチ難民の感情を煽あおっています。その情報操作も発覚してニュースになっていますが、まあ、現政権のスキャンダルの中ではマイナー過ぎる話題で、あまり注目されていません。日本で政治家を「疑惑のデパート」と呼ぶことがありましたが、規模が違います。トランプ政権は「疑惑のデパート」どころか、「疑惑のフードコート」や「疑惑のスーパー」などもすべて寄せ集めた「疑惑のメガ・モール」とでも言うべきでしょうか。

外国人受け入れが日本社会にもたらすもの

このように、移民・難民は治安や財政に貢献しているようですが、考えてみれば、外国人がもたらすものはそれだけではありませんよね。

例えば、外国人が日本社会に入ることで彼らの国とのつながりができます。彼らは自分の生まれ育った国のライフスタイルやニーズも掌握しており、当事者ならではの情報や見解を握っているのです。グローバル化を目指す企業などに重宝されて然しかるべきです。

さらに日本人とは違う教育を受けてきた外国人の発想で、日本国内のアイディアが多様化し新しい商品開発につながるなど、世界市場を視野に入れた事業展開も可能になると思います。もちろん外国人が持ち込む食・音楽・文学などの文化的な要素も大きいでしょう。

一般的なイメージや政治家のレトリックに反するかもしれませんが、移民の受け入れは、その国の職を減らすのではなく、職を増やす効果があるのです。移民によって労働人口も消費人口も増え、国内需要も増えますから、国内市場は大きくなります。消費の増大によって新たな雇用も創出され、結果的に経済成長が促されると考えられるのです。