「CPUの種類だけが表記されており、型番の表記がありませんね。この書き方ではどのCPUが使われているか、説明していることになりません。同じi3でも2008年製のものと、18年製のものでは、性能に雲泥の差があります。これは11年製の第2世代で、8年前の型落ち。iPhone4をiPhoneと言って売っているようなもの。なぜ誰も疑問に思わないのか、不思議です」(建部氏)
それでも購入希望の用紙を手に取っている客は多く、レジとなっている場所には長蛇の列ができています。
ここで建部さんが耳打ちしてきます。
「ここのノートパソコン、どれも相場よりかなり高いですよ。このスペックと年式の中古であれば半値がいいところです。オフィスの互換ソフトや年賀状作成ソフトがついている点を差し引いても高すぎますね。おまけにDVDドライブはついてないですし、ここで売られている別売りのドライブは市場価格の倍。おすすめはしません」
建部さんいわく“市場価値の倍の値付け”のPCは、その後も飛ぶように売れていきました。
また、PC用のマウスは別売りなのですが、そのマウスはアマゾンで777円で販売されているもの(19年1月21日現在)。マウスは袋に最初から同梱されており、販売員は「マウスは2000円になります」と、支払いの直前になって案内していましたが、「マウスは要りません」と断る人はいませんでした。
会場から出がけに3台ものPCを購入した老夫婦に話を聞いてみました。
「孫たちが中学生になるからお祝いでね。このPCがあればゲームとかユーチューブとか見られるっていうから、お得だと思ってまとめ買いしたのよ」
その後も購入者に取材を続けたものの、会場では誰一人として「高すぎる」といった不満をこぼす人はいなかった。
結局、私と建部氏はPCを買うことなく“譲渡会”をあとにしました。
一般社団法人JEMTCが行うこの“譲渡会”は、現在もWEB上では譲渡会の詳細な情報を公開せずに集客し、現在も開催されている。
※編集部がJEMTCに対し、売価が中古市場の相場よりも高いことについて、見解を求めたところ、JEMTCは自団体のパソコンを他社の中古PCよりも高額で販売している事実を認めたうえで、「他社よりも長い1年間の保証期間、無期限の電話サポート(常時15人以上の体制)を用意し、その人件費が反映されている」旨の回答をした。