「彼女の意見はすべて取り入れる」

イギリスの映画監督クリストファー・ノーランも、ヒッチコックと似たような考え方を持っているようです。

自身にとって2作目となる『メメント』でインディペンデント・スピリット賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされたノーラン監督は、その後、『バットマン ビギンズ』から始まる新たな「バットマン」シリーズの監督に大抜擢され、日本でもヒットした『インセプション』や、アカデミー賞8部門にノミネートされた『ダンケルク』といった注目作品を次々に世に送り出し、世界的な有名映画監督の仲間入りを果たしました。

そんなノーラン監督が妻となるエマ・トーマスと結婚したのは1997年のこと。その後、2人はノーラン作品をすべて手がける映画製作会社を設立し、二人三脚で映画づくりに取り組んでいます。

ノーラン監督は妻のエマ・トーマスについて、

「彼女の意見はすべて取り入れる。決して議論になることはないし、仕事を家に持ち帰ることはない」(「Real Sound」2017年8月30日付より)

と述べ、彼の場合、自分の妻としてのみならず、プロデューサーとしても全幅の信頼を置いていることがわかります。

仕事に関係ないからこそ親身に考えてくれる

この記事をお読みになったあなたが家庭持ちだという場合、仕事関係でなんらかの“壁”にぶち当たったときなど、自分にとってもっとも身近な存在であろう「奥さん」や「旦那さん」に相談してみてはいかがでしょうか。

奥さんが怖くても意見を聞いてみる発想を(『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』より/イラスト=タダ・トモミ)

例として挙げた2人の映画人、アルフレッド・ヒッチコック監督や、クリストファー・ノーラン監督も、「客観的かつ率直な見解」を求め、自分のプライベートにおける親愛なるパートナーである妻に、臆することなく仕事の相談していたのです。

仕事内容への理解度や、専門的な視点の有無などはまったく関係ありません。「聞いたところでどうにもならないだろう」などという余計な先入観はいっさい持たず、妻や夫の率直な意見を聞いてみる。

妻や夫からすれば、愛する家族の行く末を左右するかもしれない一大事に相談されたとなれば、必ずや親身になって考えてくれるはずですし、職場における人間関係が生み出すような「遠慮」や「嘘」などはそこにはいっさい存在しません。

仕事関係の人たちの視点からは得られない、意外でタメになる、まさに“目からウロコ”のすごいアドバイスが得られるかもしれません。心当たりがあるなら、さっそく今日にでも妻や夫に話してみてください。

教養総研(きょうようそうけん)
「教養」に関するさまざまなトピックスを世に発信する小集団。これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。
(イラスト=タダ・トモミ)
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