年上に対しても、礼節は重んじながら本気でぶつかる

周りの方から「君はちょっと異常だ」と驚かれるのが、私が持つ「人との出会い運」です。振り返ってみると、大切な岐路では必ず「奇跡」と呼ぶに相応しい「幸運な出会い」に支えられてきたことに気づきます。

では、なぜ出会いに恵まれるのか? その理由を自分で明確に意識したことはありませんが、先輩方からは「目上に対して礼節を重んじながら、持論は明確に持ち、意見が違えば本気でぶつかるところが君の面白い所」と言われます。20代前半の頃から、先輩たちに「自分の友達に面白いヤツがいるから、メシでも食わせてもらってこい」などと紹介を受けることもたびたびでした。相手の地位や肩書き、業種の違いに関係なく、思ったことを率直に伝え学んできたことが、沢山の出会いの連鎖に繋がったのではないか、と思っています。

自分の野心や信念を明確に掲げることは大切だと思います。もちろん、多くの人々に役に立ちたい、利便性を提供したい、という信念が前提です。実はインタープレイト時代の5年間は、現在のような奇跡的な出会いはほとんどありませんでした。おそらく自社完結・自社利益型の事業がメインだったからです。それが、パロニムとして「映像の未来に圧倒的な利便性を創る」「映像の世界を変える」「文化、習慣を変える」という、多くの力を巻き込み、ユーザーファーストを成立させるビジョンを掲げるようになると、そのビジョンに共感する優秀な支援者や企業が次々と現れたのです。

私たちの究極の目標は、「世界中のありとあらゆる映像がTIG化される」ことです。スマホやPCはもちろん、テレビや街中のデジタルサイネージにいたるまで、目に触れる映像すべてにTIGが実装され、映像に触れることで必要な情報が即座に手に入る――それが当たり前の世界を目指しています。購買のみならず、観光やシニアマーケット、デジタル教育ツールなど多様な社会実装が目標です。ビジョンに賛同してくださる方々の協力を得ながら、この理想を持ち、一歩ずつ確実に、かつスピーディーに達成していきたいと考えています。

(構成=梅澤聡、撮影=諸星太輔)