吉野家の未来には「荒療治」が必要だ
そして普通に考えればわかるのですが、この2業態は、どんなに工夫をしたとしても牛丼の吉野家と物流や店舗開発の面でシナジー(相乗効果)を効かせる余地が大きくはありません。
ではどうしたらいいのでしょうか。
吉野家ホールディングスが行うべき最重要経営課題は、このような事業ポートフォリオの見直しです。あくまで理想論だけで話を進めれば、まずステーキのどんと京樽のふたつの業態は不要です。吉野家の力ではどうしようもありません。むしろステーキ業界と和食・寿司業界とシナジーを効かせることができる他の外食企業に売却するなどして、この分野からは撤退すべきです。
そうすると吉野家ホールディングスは牛丼と讃岐うどん、それぞれ業界の中ではある程度生き残りやすい2業態が残ります。しかし2業態ではこれから先、別の経営危機が訪れた場合に脆弱な構造になってしまいます。
そこでさらに理想を言えば、同規模で経営思想も近い別の外食企業と対等合併をする。そのことによって4つないしは5つの事業の柱がある、より強い外食ホールディングカンパニーになる。
今回の吉野家の決算を見る限り、それくらいの荒療治に踏み込まないと企業としての未来が難しい。ことは決算数値以上に深刻だというのが私の見立てなのです。
(写真=時事通信フォト)