柳の下の泥鰌を狙い、売れるジャンルに新規参入が相次ぐのは出版の常、時代小説を読みたいが点数が多すぎて何から読めばいいかわからない、という声をよく聞く。そこで、物心ついた頃には祖父の膝の上でテレビの時代劇に見入り、その影響で中学時代からこの世界に耽溺してきた私が初心者のための必読100冊を選んでみた。ちなみに史実に沿って筋が展開される作品を「歴史小説」、時代という衣装を借りて作者が夢を語るものを「時代小説」というが、本稿では区別せず、時代小説で統一する。

作品解説に入る前に、時代小説を読むうえでのポイントを押さえておきたい。