ドトールは「毎日飲んでも負担にならない金額」
ドトールコーヒーの主力業態「ドトール」には、1日に全店合わせて約51万人が来店する。1980年の開業時は、当時コーヒー1杯が平均300円の時代に、半額の150円で提供。代わりに自分で飲食物を運ぶ「セルフサービス」の業態(開業時は立ち飲み)とした。
ところで、喫茶業界には「低価格帯」「中価格帯」「高価格帯」という区分がある。コーヒー1杯の価格を示したもので、明確な基準はない。筆者の肌感覚では、現在なら低価格=200円台まで、中価格=300~500円台、高価格=600円以上だろうか。
つまり「ドトール」が、この区分でいう「低価格帯」。同グループの「星乃珈琲」が「中価格帯」。そして「神乃珈琲」が「高価格帯」というフルラインナップ戦略なのだ。
価格が違えば、利用のされ方も違う。もともと「ドトール」は創業者の鳥羽博道氏(現名誉会長)が「毎日飲んでも負担にならない金額」として当時150円を設定。今でもその路線を踏襲しており、看板フードの「ジャーマンドック」を一緒に頼んでも440円(税込み)と、ワンコインでお釣りがくる。そのため毎日のように利用する客も多い。
神乃珈琲は「こだわりの集大成の業態」
一方、「神乃珈琲」について菅野氏は「ドトール・日レスが手がけたカフェの歴史において、こだわりの集大成の業態」と話す。
「店のコンセプトとして、(1)直接仕入、(2)直火焙煎、(3)抽出へのこだわり、(4)品格ある味わい、(5)上質な空間、の5つを掲げました。特に銀座と京都の店は、『せっかく銀座(京都)に来たから寄ろう』と思われる店をめざしています」(菅野氏)
こう説明するように、希少価値の豆の仕入れから抽出までを重視する。なお菅野氏は大手カフェの社員では珍しく、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)理事でトレイニング委員会委員長も務める。その人物の名をとった最高級店には別の意味もありそうだ。