年内に済ませて、「不都合な真実」は忘れてもらおう

安倍政権は、年末によく働く。今年もそうだ。国会が10日に閉じた後は14日に米軍普天間飛行場の移籍先である名護市辺野古に土砂投入を決行。臨時国会で改正入国管理法が成立したのを受けて具体的な対応策を着々とまとめている。

なぜ年末によく働くのか。どうやら国民の評判の悪い話は、年内に片付けておこうということなのだ。来年は重要な選挙が続く。年末、年始をまたぐことで「不都合な真実」は忘れてもらおうという発想らしい。

2018年12月14日、土砂投入が始まった辺野古の埋め立て海域。(写真=時事通信フォト)

土砂投入の中継は安倍政権の横暴さを印象づけた

辺野古への土砂投入は14日、午前11時になるのを待っていたのかのように始まった。マスコミは競うように、ヘリやドローンを使い、トラックに満載された土砂が沿岸部に投げ込まれるシーンを中継した。辺野古移設が新たな段階に入ったことを全国民に伝えるとともに、安倍政権の横暴さを印象づけた。

安倍晋三首相と玉城デニー沖縄県知事の協議は、平行線が続いている。政府部内には、辺野古移設の方針は変えないにしても、もう少し時間をかけて玉城氏と話し合ってもいいのではないか、という意見はある。9月30日の沖縄県知事選で40万票近い得票を得た玉城氏には沖縄県民の民意がついているからだ。

しかし、最終的には安倍氏の判断で、「粛々と」土砂投入が進められていった。

「国会が閉じるのを待っていた」との疑念

12月、安倍政権は一般的には評判の悪いことを続けざまに行っている。

改正入管難民法は、議論が「生煮え」という批判が高まる中で審議を続け、8日未明に成立させた。そして法成立を受けた17日には、法成立を受けて政府の検討会で「総合的対応策」の案が提示された。

この件に関しては、内容のよしあしもさることながら「これだけのことを検討していたのなら、なぜ国会に示さなかったのか」という批判が出た。案が示されたのは臨時国会が10日閉会してわずか1週間後のことである。詳細を示して国会で逐一批判されると臨時国会での成立がおぼつかなくなると判断し、国会が閉じるのを待って出してきたと疑われてもしかたない。