年末・年始のあわただしい時期を迎え、ビジネスマンもつい気が緩みがちになる。そんなときこそ職場外でのトラブルにご用心。

酒に酔っての傷害事件や器物破損、車を運転しての人身事故……。警察沙汰、刑事事件にでもなれば、それこそ人生を棒に振りかねない。

そうなってしまったら、どうなるのか? 企業の人事・労務関係に詳しい石井妙子弁護士はこう話す。

「会社は原則、職務や職場を離れた社員の私生活上の行為に干渉したり、自由を侵害することはできません。しかし、そのことが企業の信用を毀損したり、業務運営に悪影響を及ぼすものであれば、解雇など処分の対象になります。職場外での刑事事件の場合、事件の内容や罪の軽重、当該社員の会社での地位や職種、経営方針など総合的に判断して処分を決めることになります」

その際、根拠となるのが「就業規則」に記載された懲戒規定だ。

就業規則の作成プロセスと「いざというとき」の対処法

就業規則の作成プロセスと「いざというとき」の対処法

そもそも就業規則は、労働基準法89条により、従業員数10人以上の会社に作成を義務づけ、会社は最寄りの労働基準監督署に届け出、さらに規則を社員に周知しなければならない(図参照)。

なかでも懲戒規定は、必要的記載事項とされる。懲戒の種類は、会社によって異なるものの、一般的に譴責(戒告)、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇の順に重くなる。

「仮に刑事事件を理由にするものであっても、懲戒解雇事由に該当しない場合もあります。それを懲戒解雇してしまうと、懲戒権の濫用として有効性が争われます」(石井弁護士)

判例には、こんなケースがある。