「あえて資格を持った人を入れないようにしている」

「防止室には法律に詳しい人はいても、自分を含め、臨床心理士の資格を持った人や、カウンセリングの専門家は誰もいませんでした。それでもいいものかと疑問に思っていたのですが、当時のハラスメント防止委員会の副委員長には『あえて資格を持った人を入れないようにしている』と説明されました。その副委員長は『防止室は大学のリスクマネジメントのためにある』とも言っており、曰く、資格を持っていると、被害者側に立ち過ぎてしまって運営がスムーズにいかなくなる、とのことでした」

女性の主張については、早大広報課は次のようにメールで回答した。

「これまでに有資格者を採用したことはあります。有資格者を意図的に採用してこなかったということはありません。(安全上の配慮から)具体的な時期については回答を差し控えさせていただきます」
「ハラスメント防止室では、相談者に寄り添うことを基本としハラスメントを適正に処理することを任務としており、そのことがハラスメント防止室に課された大学のリスクマネジメントと認識しています」

ハラスメント防止委員会のウェブサイトに掲示されている「関係資料リスト」。書籍一覧、ビデオ一覧ともに2009年で更新が止まっている(2018年11月16日閲覧)。

委員長である教授の判断で、受理するかを決める仕組み

女性は早大ハラスメント防止室の仕組みを次のように説明する。

「ハラスメント防止室はだいたい5~6人で運営していました。ハラスメントに関する相談が寄せられた場合、まず相談員が被害を訴えている学生や教員から話を聞きます。もし生徒や教員がハラスメントに関する正式な調査を求める場合は『苦情申立書』という書類を本人に書いてもらい、直接手渡しで防止室に提出してもらいます。そこから、ハラスメント防止室は教員らで構成される“ハラスメント防止委員会”に報告し、実際に受理するかどうかを判断します」

ただ、すべての申立が防止委員会に報告されていたわけではなかったと女性はいう。

委員会の規定では、「委員長は、苦情処理の申立てが第1条に規定する目的に照らし相当でないと認めるときは、当該苦情処理の申立てを不受理とすることができる」となっている。また、早大広報課によると、「委員会委員長を『ハラスメント防止室長』とも称している」という。つまり、防止室長の判断で、受理するかどうかをある程度は決められる仕組みになっている。