ホワイト企業は「やらされ感」とは無縁

それでは社員の幸福度を上げるためには、具体的に何をすればいいのでしょうか。最終的にはそれぞれの会社の理念や従業員の属性に合わせて考える必要がありますが、基本的には4つの因子を高める方向で考えてみてください。

たとえば「やってみよう」因子を高めるためには、部下に権限を委譲するという方法があります。自分の裁量で仕事を進められるようになれば、「やらされ感」とは無縁です。ワンランク上の仕事に挑戦することで成長の喜びを味わえますし、さらに成功すれば達成感を得られます。

もう1つの方法は「理念の浸透」です。私が委員を務める「ホワイト企業大賞」を受賞した徳島県徳島市の西精工株式会社では、毎朝1時間をかけて朝礼を行い、会社の理念についてみんなで徹底的に話し合っています。

ここは「ねじ製品」をつくる会社ですが、「このねじが自動車の一部になることで、世界中の人々の幸せに貢献するんだ」などと仕事の意味を確認し合うことで、「やらされ感」が消えるばかりか、自分たちの意見を出しながら働くことで主体性も生まれます。

大企業より小さな会社にこそ幸福度の高い会社がある

また、ほかの社員とのコミュニケーションが増えるので、「ありがとう」因子も強まり、その結果、「何か困ったことが起きても、みんながサポートしてくれる」と思える関係が構築できて、「なんとかなる」因子も強まるというわけです。

ちなみに、われわれが考える「ホワイト企業」の条件を因子分析したところ、「いきいき」「のびのび」「すくすく」というキーワードが出てきました。社員一人ひとりが「いきいき」働いている、「すくすく」成長できる、「のびのび」と自由に振る舞える会社では、社員が幸福を感じているということです。

「そうはいっても、うちは小さい会社だし、社員の幸福まで気にする余裕はない」と思う人もいるかもしれません。確かに単純な幸福度の平均は、大企業のほうが高い傾向があります。これは大企業のもつ「安定感」という要素の影響によるものですが、私の実感でいえばむしろ逆で、小さな会社にこそ幸福度が極めて高い会社があります。