実生活へのAIの浸透に、今後加速がつくのはいうまでもないが、身近な資料作成においてはどうだろうか? 移籍が話題となったエバンジェリストが、現状と将来像を語った。

AIならでは! 画像検索の進化

ビジネスの現場ではさまざまな書類が日々作成されています。その中でも提案書や説明資料、要件定義書などを作るとなると、ウィンドウズならパワーポイント、マックならキーノートといったプレゼンソフトが広く活用されています。

富士通常務理事 首席エバンジェリスト 中山五輪男氏

ただ、今のところいずれもAI機能を前面に押し出すツールには必ずしもなっていません。しかし、「AIは生産性を上げる道具である」という視点に立つなら、そうした書類作成にかかわる作業こそAIに手助けしてもらって、その分を人間は“考える”時間に充てたいところです。

AIによる資料作成には2つの機能があると思います。まず、作成時間の短縮につながる機能。次に、より芸術的・効果的なビジュアルの資料を作るための作法を教えてくれる機能です。

前者については、過去に作成したプレゼン資料を用途に応じて効率よく検索できるシステム「Ave‐Chance(アベチャンス)」を当社で開発しました。現在、社内実証中ですが、プレゼン資料作成作業において、時間短縮化・作業効率化を実現しています。

おそらく多くの企業では書類の電子化は進んでいて、プレゼンソフトで作成した書類もビッグデータとして蓄積されているはずです。もし提案書や説明資料などを作成しようというとき、それらの大量のドキュメント資産から必要情報を検索したり、それらを再利用したりできれば、最小限の時間と労力ですみます。そうした参照データを引っ張り出す作業を、AIによる検索機能に頼ろうというわけです。

検索の仕方としては、「キーワード」検索や「メタデータ」検索が入り口です。メタデータはAIによって自動的に付与されますが、さらにAIならではの恩恵に浴することができるのが「画像」検索です。実際に、グーグルなどの検索エンジンで、この画像検索を積極的に活用しているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。企業に導入されているIBMのワトソンや富士通のZinrai(ジンライ)などのAIサービスにおいても、この画像検索はどんどん進化しているのです。

アベチャンスでは、スライド単位で検索結果が表示されると同時に、レイアウトや色などのいくつかの観点から類似するスライドを近い位置に並べ替えられます。しかも、検索結果に含まれる用語群からキーワードインデックスが自動的に生成されます。それらをもとに必要と判断したスライドを絞り込み、画面上の特定のスペースにドラッグ・アンド・ドロップしていけば、スライド一式を1つのファイルとしてダウンロードできます。あとは、必要に応じて適宜修正を加えるだけで、新たな書類が完成するわけです。