成功する社長はどんな考え方をしているのか。たとえば多くの社長は銀行からの借入金の返済に悩んでいる。だが、そんなことに悩まないほうがいい。経営アドバイザーの三條慶八氏は「銀行に借金を返そうと思わないほうがいい。借金を『会社発展のための財産だ』と思えるようになれば、本物の社長といえる」と説く――。

※本稿は、三條慶八『儲かる会社に変わっていく社長の全テクニック』(KADOKAWA)第4章「『資金繰り』『銀行交渉』を上手に回して会社を右肩上がりにする」の一部を再編集したものです。

銀行借入金は返すことより活かすことを考える

3億円の借金をどうやって返そうかと、いつも悩んでいる社長さんがいます。

「社長、返そうと思うから悩むんだよ。なんで返そうと思うの?」
「そりゃあ、借りたものだから」
「でも事業をずっと続ければ、ずっと借金があっても問題ないでしょ」
「そりゃそうなんだけど……」

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bulentozber)

しっかりと返済計画もできているし、そんなに悩む必要はないと思うのですが、借りたものはきちんと返したい、少しでも早く返したいというのが生真面目な日本人の気質なのかもしれません。

しかし、銀行は貸した分を返してほしいとはまったく思っていません。銀行が何のために貸しているかと言えば、貸すことによって金利を得るためです。銀行はこの社長さんにも、できればずっと借りていてほしいのです。そのためには、元気に働いて稼ぎ続けてもらうことが一番なのです。

儲けて金利を払い続けることを目標にする

「銀行に借金を返そうと思うな!」

私は相談会やセミナーであえてこのような刺激的なことを言いますが、それは借りた金を踏み倒せと言っているわけではありません。

経営者であれば、後ろ向きのことばかり考えずに、事業を拡大するために、「もっと金を借りて、もっと儲けて、その分の金利はしっかり払いなさい」と言いたいのです。そして、それこそが、「銀行が貸したい会社」の姿なのです。

私の経験では、「借金3億円」が社長の意識の転換点です。3億円までなら一生かければ何とか自分で返せる金額なので、返すつもりで借りることになります。しかし、5億、10億となると、とても一人の力で返せる額ではないので、逆にふっきれることが多いのです。そこから先は、10億も100億も同じになってきます。もう、腹をくくるしかありません。

「社長、3億円なんて中途半端なお金借りてるから気が重くなるんですよ。もっと借りたら?」

前述の社長に私は最後にこう言いました。軽い冗談ではありますが、半分は本気でけしかけたつもりです。借金を「会社発展のための財産だ」と思えるようになれば、本物の社長といえるからです。