「A級戦犯」は西村康稔・官房副長官
5日の段階では、まだそれほど被害は広がっていなかったので、目くじらをたてる話ではない、という声もある。確かに5日に起きた出来事を伝える6日の新聞朝刊をチェックすると、私立大学支援事業を巡り文部科学省の局長が逮捕された事件の続報や、W杯サッカーで健闘したサッカー日本代表が帰国したニュースが1面を飾り、大雨のニュースは社会面などで小さく報じられているだけだ。
しかし5日午後には午後には気象庁が会見を開き「非常に激しい雨が数日間降り続き記録的な大雨となるおそれ」があると警告を発していた。雨の警戒のために気象庁が会見するのは異例中の異例のこと。政府は今後、大変なことが起きうることは十分把握できいたはずだ。
「自民亭」を中止したからといって西日本豪雨の被害を食い止めることができたかどうかは分からない。ただ、巧みな危機管理対応を売り物にする安倍政権としては、初動対応で決定的に誤ったのは間違いない。与党・公明党の井上義久幹事長も13日の記者会見で「軽率のそしりを免れない。会合自体を踏みとどまるべきだった」と厳しい口調で批判している。
緊張感がないと言われてもしかたない
安倍首相は8日、午前9時から首相官邸で開いた非常災害対策本部の会議で「今なお安否不明の方が多数いる。孤立して、救助を求めている方もおり、時間との闘いだ」と声を張り上げた。だが3日前の夜、彼らが何をしていたのかを考えると「時間との闘い」と言われても素直に受け入れがたい。安倍首相の発言も、ネットでは格好の批判材料となっている。
この件で「A級戦犯」とされているのは「自民亭」のもようをツイッターで世界に発信した西村氏だ。11日、「週末の大雨による災害発生時に会合を開いているかのような誤解を与え、不愉快な思いを抱かせたことをお詫び申し上げます」とツイートしたが、その表現にも「5日夜は災害発生していなかったのか」「誤解とは、だれが、どう誤解したということか」と、新たな批判を招いている。
「自民亭」出席者で、他に批判を受けているのは上川陽子法相だ。「自民亭」の翌6日、オウム真理教の麻原彰晃元代表ら7人の死刑が執行された。麻原元代表らの死刑執行は、「報復テロ」を誘発する可能性もある。政府をあげて万全を取らなければならない問題だ。にもかかわらず、その前夜に宴席に出ていたことになる。緊張感がないと言われてもしかたない。