商標権と引き換えに金銭を要求する手口

たとえば、「X」という新商品の発売をしたい企業Aに先んじて、新商品「X」の商標を出願しておけば、先に審査中の出願が却下されるまで、企業Aは商品「X」の商標権を取得できない。商標権がないままでは、新商品「X」の発売もできない。通常、審査は半年ほどかかるが、さらに期間を引き延ばすことも可能だ。そうして困った企業Aに対して、商品「X」の商標と引き換えに、金銭を要求するのだ。トラブルの表面化を避けたい企業が、応じてしまうケースも考えられる。

PPAPの商標権問題は、17年の4月にBLによる出願が消滅し、正式にエイベックスの商標となった。しかし、この事件はビジネスパーソンにとって対岸の火事ではない。商標権ひとつで自分のビジネスが破談になることさえあるのだ。まずは、自分の関わる製品やサービスの商標がすでに登録されていないか、特許庁のデータベース「特許情報プラットフォーム」などで確認してみよう。

平野泰弘
弁理士
1962年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院修了。大手メーカーでの社内弁理士の経験を経て、2004年、ファーイースト国際特許事務所設立。著書に『社長、商標登録はお済みですか?』がある。
(構成=野澤正毅 撮影=大泉 裕 写真=時事通信フォト)
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