伝統工芸品などを除けば日本の木材を使用した家具の販売量は非常に少なかったという。しかし近年、森林保護の観点から国産木材の消費拡大が叫ばれはじめ、国産材の家具が注目されるようになってきた。

ワイス・ワイスの「SATOYAMA」シリーズは国産栗材の木片で作った集成材を使用。2万6250円~。

ワイス・ワイスの「SATOYAMA」シリーズは国産栗材の木片で作った集成材を使用。2万6250円~。

国産材家具の人気に火をつけたのが東京の家具メーカー「ワイス・ワイス」。昨年春から国産の栗材を定番シリーズのイスの素材に追加した。国産材を使う意味を客に説明して販売したところ、1年で一番人気の輸入木材商品と並ぶ売り上げを記録。無垢材としては使えない栗材の木片を使った集成材家具も好評だ。国産材導入時に立てた「2015年に全売り上げの50%を国産材家具で」という目標も、3年前倒しで達成できそうな勢いだ。

佐藤岳利社長は「輸入木材の中には、東南アジアや南米アマゾンの熱帯雨林などで違法に伐採された疑いがあるものが多いのです。知らずに買って環境破壊に手を貸している可能性もあります」と輸入材の問題点を指摘。こうした木材を使用した格安家具には、ホルムアルデヒドが使われていることもあり、健康被害も報告されている。

「逆に日本の人工林や里山には人の手が必要で、伐採して使うことによって森を守ることになります。正しく切られた木で作られた家具には木のパワーが受け継がれ、幸せをもたらすような気がしますよ」と佐藤社長。同社の商品は東北の木材が中心。今なら買うだけで震災復興の手助けにもなりそうだ。

昨年夏には、大手家具メーカーのカリモクも国内産広葉樹の間伐材を使用した新ブランド「カリモク ニュー スタンダード」を発売。加藤洋副社長は「家具メーカーとして森林の生態系保護は社会的使命」と意気込みを語る。1年目から国外4カ国10店舗で販売するなど海外展開に力を入れ、日本産木材の家具を世界に広げている。