大切な老後資金を守り、増やすためにはどうすればいいのか。「プレジデント」(2018年4月2日号)では、だれもが直面する「悩ましすぎる10大テーマ」について、Q&A形式で識者に聞いた。第1回は「財布のひもを握るべきは、妻か、夫か」――。
年収700万円では「妻が家計管理」が正解
好き放題、自由にお金を使いたい夫。そんな夫を苦々しく思う妻。妻と夫、どちらが財布のひもを握るべきか。世帯年収のほか、共働きか専業主婦家庭かによって異なります。
年収700万円前後で妻がパートや専業主婦という世帯では妻が家計を管理しているケースが多く、それが正解といえます。
年収700万円で妻がパートか専業主婦、子どもが2人(公立小学校)の場合、税や社会保険料を引いたあとの手取りは540万円程度。これまで私がみてきたケースを総合すると、食費、光熱費、住居費、教育費などで毎月の生活費は38万円程度、自宅の固定資産税やクルマの維持費など、年数回かかる費用を70万円とすると、年間の支出は526万円で、ほとんど貯蓄ができないのが実状です。
子どもが小学生で教育費の負担が軽い時期なのに思うように貯蓄できない……。そんな現実を誰よりもわかっているのは家計を預かる妻ですから、妻に財布のひもを握らせれば、「なんとか貯めよう」という気持ちになってくれるでしょう。
「夫が妻に決まった額を渡す」の落とし穴
年収1000万円以上で妻が専業主婦という世帯では、夫が妻に生活費として決まった額を渡し、財布のひもは夫が握っているパターンが多いといえます。
とはいえ、ひもは緩みがち。夫が好きにお金を使い、ほとんど貯蓄していないケースも珍しくありません。妻は「このお金でやりくりすればいい(貯蓄は夫がするのね)」と思い、当の夫は好きなようにお金を使っている。それでは貯蓄はできません。妻に財布のひもを握らせれば、使い方を工夫したり、パートで働いたりしてお金を捻出し、なんとか貯蓄しようとしてくれます。妻に財布を任せる、ワンオペのほうが貯めやすいのです。