賠償の内訳で注目すべきは、将来の介護費用が群を抜いて高いことです。死亡事故一般よりも高額なのは、ショックかもしれません。

子どもが起こした自転車事故は、加害者に責任能力がないとその監督義務を負う者が賠償の責任を負う、という民法714条、もしくは民法709条により責任を追及する場合があります。709条を噛み砕くと、自分の行為(故意or不注意)が他人の権利や利益を侵害すれば損害賠償しなくてはならない、となる。つまり「親の監督責任そのもの」が709条の不法行為になりうるわけです。

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母親が子どもに再三注意したといっても、それが客観的事実だと証明できなければ説得力がないこともある。裁判は結局「言った」「言わない」の証拠取りですから。日頃から交通安全に対する意識を家族で共有し、普段からフェイスブックなどSNSに頻繁に事実(日付入り)を記述しておくのも1つの方法かもしれません。

近年は自転車ブームもあって自転車事故が顕著に増加しており、法律家向けに全国の判例情報を掲載する『別冊判例タイムズ38』では「歩行者と自転車との事故」という項目が追加されました。

今回の神戸地裁の判例を受けて、兵庫県では自転車にも任意保険の加入を義務付けるような条例を制定しました。自転車に関するルールは各地でまだ整備されているとは言い切れないのですが、神戸地裁の判決は社会を変えました。

実際、自動車の任意保険には入るけれど、自転車だと入らない人が多いですよね。それでも万が一、自分の子どもが自転車事故の加害者になったことを想像すれば、任意保険に入っておくというのは必要なことのような気はします。

ちなみに、みなさんが入っておられる火災保険を調べてみてください。あまり知られていないようですが、火災保険の個人賠償責任特約などを利用すれば、自転車事故による賠償は補償されることがあります。約款を読んでわからなければ、保険会社に連絡するといい1度事前に確認しておくことをお勧めします。

青木耕一
弁護士
1975年、東京都生まれ。神奈川県立希望が丘高校卒業、2000年東京大学法学部卒業。03年弁護士登録。09年青木耕一法律事務所開設。08年より東京簡易裁判所司法委員。
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(構成=篠原克周 撮影=小原孝博 写真=iStock.com)