より意識する必要があるのは、感情を直接表さない“非感情語”を発するときです。非感情語は、感情と対応した表情や動作があるわけではないため、自分自身で何を表現したいのか、何を相手に伝えたいのかを注意深く考え、自己表現する必要があるからです。しかし、非感情語を発するときに伝えたい思いや感情を身体で適切に表すことができれば、あなたがその言葉の意味をどう位置付けているのかを相手に印象付けることができ、コミュニケーションに躍動感をもたらすことができます。
「本製品のカラーは、ホワイト・グレー・ブルーがあります」と、商品説明をするシーンを想像してみてください。色は感情語ではありません。当然、色の説明をするときの適切な表情や動作が決まっているわけではありません。しかし、人さし指を立てながら「ホワイト」、引き続き中指を立てながら「グレー」、そして最後に薬指を立てながら「ブルー」と色の説明をすれば、色のバリエーションが特別なポイントだという印象を相手に伝えることができます。また「ブルー」というときだけ眉を引き上げれば、ブルーが特別な色、たとえば、最近加わったカラーバリエーションだということや、人気な色だということなどを伝える布石を作ることができます。
表情で相手の心構えをつくらせる
非感情語の別の例として、「このような結果になるとは思っていませんでした」という言葉もオフィスでよく見聞きします。なんらかのプロジェクトの進行中に笑顔でこの言葉を発すれば、相手に「今から良い報告を聞く心の準備をしてください」ということを、逆に“恐怖表情”でこの言葉を発すれば、相手に「用心して報告を聞く心の準備をしてください」ということを伝えることができます。突然、相手の感情を刺激するのではなく、相手に感情を受け止める器を用意する間を作るのです。
感情語を使うときは、文字通りの意味を強化するためにその言葉に一致したノンバーバル・シグナルを表現できるようにしましょう。非感情語を使うときは、自分が意図した印象を伝えるためにその言葉を修飾できるようなノンバーバル・シグナルを表現できるようにしましょう。