かつての貴族社会に「サロン」があった理由

世の中の新しい動きや流行は、小さな濃いコミュニティから生まれてくる。

印象派の中心として活躍した画家、クロード・モネの作品。(AFLO=写真)

例えば、絵画の「印象派」は、当時の権威ある展覧会の選から漏れた画家たちが集まって開いた自主展覧会に由来している。科学上の重要な発見であった「量子力学」も、「コペンハーゲン学派」という言葉があるように、少数の科学者の高い密度の共同作業を通して形を整えていった。

最近で言えば、世の中を席巻しつつあるビットコインなどの「仮想通貨」がいい例だろう。原理となるブロックチェーンを初めて記述した「サトシ・ナカモト」は偽名であると言われており、誰が本物かわからない。いずれにせよ、「サトシ・ナカモト」を中心とするグループが数理モデルを整え、プログラムすることで仮想通貨への道が開かれた。

時代の新しい風は、かつての貴族社会の「サロン」のような趣味、嗜好が同じ仲間から生まれてくる。そのような「サロン」を持つことは、ビジネス、人生に大いに役立つだろう。

今は、ポスト・マスメディアの時代である。テレビや新聞などの旧来のメディアは、ネット発の流行を追いかけることが多い。新しい潮流を早くつかもうとしたらマスメディアだけでは足らず、ネットに情報源を求めなければならない。

そこで私がお勧めするのは、ツイッターやフェイスブックなどのSNSや、ニュースサイトを活用して自分なりの情報源のリストをつくることである。そのことで、最新の情勢が濃縮された形で把握できるし、一種の「サロン」のような擬似空間もできる。