秋元康を、やる気にさせた言葉

【田原】AKB48も演者で参加している。秋元康さんがよくOKしたね。

【前田】AKBにとってもメリットが大きいのではとお伝えしました。いまAKBに足りない要素の1つに、「下からの突き上げ」があるのでは、と。SHOWROOMを活用して、下克上が起こる環境をつくり出せば、グループ全体がもっと活性化すると思ったんです。

【田原】でも、総選挙をやっていますよ。

【前田】現状ではメディア露出が多い子たちが上位を占める傾向にあると思います。そうなると、下の子たちは「頑張ります」と言いつつ、何をどう頑張っていいのかわからない。でも、SHOWROOMなら自分の努力でファンをつくって、総選挙で票を伸ばすことができるじゃないですか。もっとも、秋元さんに初めてお会いしたときにこうプレゼンしても、相手にされなかったですけど(笑)。おもしろいと言ってもらえたのは3回目。秋元さんがロスに行くという情報を聞いて、僕も現地に。知人のツテで何とか食事に同席させてもらい、そこで熱弁をふるったら、やっと振り向いてもらえました。

【田原】演者のメリットはわかりました。ユーザーは何のためにギフトを贈るんですか。

【前田】たとえば、ギフティングによって演者の夢がどんどん叶っていく過程を見ることができます。また、バーチャル空間で自分のアバターが前列に行って目立ちやすくなるという機能もあります。それを理由にギフティングしている方もいるかもしれません。

【田原】じゃアイドルに認識してもらいたくて300万円出すようなファンもいる?

【前田】課金制限を設けているので、そこまで一気に高額のギフティングが起こることはありません。やはり、演者としては、1人のコアファンというより、濃いファンをどれだけ多く抱えられるか、がポイント。人気の演者は深く応援してくれるようなファンを多くつけて、ひと月に1500万円売り上げる子も出てきています。

【田原】SHOWROOMは2015年に独立して会社になった。いま日本にライブ配信の会社はほかにもありますか。

【前田】あります。現状は大企業の参入が多くて、たとえばLINEや、先ほど比較に出たYouTubeもライブ配信を始めています。逆にサイバーエージェントは個人配信をやめてAbemaTVに注力していますが。

【田原】藤田晋さんはどうしてライブ配信から撤退したんだろう。

【前田】選択と集中でしょう。では、なぜ選択がテレビだったのか。臆測ですが、1つにはおそらく世代の違いがあると思います。僕らよりも少し、テレビを偶像化している気がします。ただ、それが間違っているとは思わなくて、あくまで価値観の違い。もちろん藤田さんには勝算があると思います。藤田さんは「視聴者が求める視聴態度は受け身」とおっしゃっている。たしかに受け身で放送を楽しむ層は一定数いますから、その需要をスマホ上で取り込めたら、すごいことですよね。

【田原】ライブ配信を見るのは受け身じゃないですよね。双方向だから。

【前田】そうですね。僕はライブ配信をSNSの次に来るものだと位置づけていて、テレビの延長線上ではない。ビジネスモデルも僕らは直接課金ですが、テレビは広告メインですので、異なります。だから既存のテレビともケンカにならない。むしろシナジーを生む関係になるはずです。