投資の確率を高めるのは様々な情報を収集する“情報武装力”。「億トレーダー」のサラリーマン投資家が教える「わらしべ長者」の情報活用術とは――。

「もっと儲けたい」人の集まりで意見交換

おとぎ話の「わらしべ長者」をご存じの方も多いでしょう。ある男が1本の藁を元手に、物々交換をへて次第に高価なものを得ていく物語です。みかん、反物、馬と替えながら、ついには田畑と屋敷を持つ金持ちになります。

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ここに投資家の行動原理があるのではないでしょうか。株の売買も、ある意味では交換です。少ない種銭を投資し、値上がりしたらキャピタルゲインを得るわけです。ただし最初から、サラリーマンにそれほど手持ちがあるわけではなく、1度の投資で得られる金額はそれほど多くはないでしょう。

しかし、個人の強みは時間を味方にできること。プロのデイトレーダーとは違い「今日中に何百万円取り戻さないと大変だ」ということはありません。しかも、給与という定期収入があるので生活に響かない金額で、根気よく続ければ、儲かる可能性が高くなります。

そこで必要になってくるのが“情報武装力”です。私が株式投資をはじめた頃は『会社四季報』で勝負銘柄を探しました。辞典ぐらいの大きさのこのデータブックには、上場企業すべての会社概要や財務情報、株価チャートといった詳細な情報が載っています。さらに、記者の独自取材に基づく会社評価や業績予想のコメントもヒントになります。

株に投資する際、私は次の5つの条件を満たしている銘柄を買うことにしています。すなわち、(1)配当金がある。(1)株主優待がある。(3)利益が増えている。(4)借金が少ない。(5)現在の株価位置──です。

もちろんいまは、気になる投資家のホームページやブログ、ツイッターをスマホで小まめにチェックしています。それだけでなく私は、そこにアクセスした人たちとのオフ会や著名投資家の講演会といったフェース・トゥ・フェースの場を大切にしてきました。

そこは、知識や知恵を仕入れるというよりも、それを交換する場です。そこに参加するのは、わざわざお金を払って「損をしたから取り戻したい」とか「もっと儲けたい」というモチベーションが高い人たちです。何人かに声を掛け、意見交換していると、相手から思いがけない拾い物が手に入ります。まさに「わらしべ長者」にほかなりません。

これを心理学では「返報性の法則」と呼んでいます。人は他人からプレゼントを貰ったとき「お返しをしなくては申し訳ない」といった気持ちになるという心理作用です。おそらく、情報交換にも多分にそうした側面があるのでしょう。