(2)上位層からの「動機づけ」が成果を底上げする
プロジェクトメンバーを選出したら、あとは活動で成果がでるのを待つだけ――このように考えている方も多いようですが、それは大きな誤解です。
プロジェクト活動が始まることは理解していたとしても、それがどの位必要なのか、一体どの方向にむかっていくのか、そして、多くの人の中でなぜ自分に白羽の矢がたったのか。プロジェクトメンバーは多くの疑問を抱えています。成果を出す活動にするためには、このようなプロジェクトメンバーの疑問を1つ1つ解消し、現状を理解し将来の見通しをもってもらうことが必要です。
そのためには、活動の責任者がプロジェクトメンバーに動機づけをしましょう。その際のポイントは、2つです。なお、プライベートな内容が交わされることもあるので、極力1対1で場をもつのが理想的です。
1つ目は、活動の意義とプロジェクトメンバーへの期待を伝えること。会議で活動の意義や目的が伝えられていたとしても、その時には普通の組織メンバーとして聞き流していただけかもしれません。いざ、プロジェクトメンバーとして活動を担う立場になると、新たに疑問が湧いてくることも多いに考えられます。また、どのような点に期待してプロジェクトメンバーに選出したのか、活動を通じてどのように成長していってほしいのかということも、忘れずに伝えて下さい。
2つ目は、プロジェクトメンバーから想いや考えをきくこと。1つ目が「押し」としたら、こちらは「引き」です。変化に前向きなプロジェクトメンバーたちなので、現状には何等かの問題意識をもっています。ただし、昔は問題意識があったものの現状に慣れてしまった、自分は活動をおこしたものの周囲から支持を得られずに頓挫したなど、過去に様々な経緯があることがほとんどです。まずは、その時の想いをあらためて言葉にしてもらうことで、モチベーションを高めてもらいます。また、現状に対して具体的な改善案がある場合には、必要に応じてそれを取り入れることもよいでしょう。
このようにしっかりと動機づけがされていないと、「面倒なことに巻き込まれた」「自分にはとても務まらない」という後ろ向きな気持ちに陥ります。活動の前に立ちはだかる困難にもへこたれず周囲を巻き込みつつ活動を進めていくためには、トップによる動機づけが必須なのです。