「薬のもらい方」が面倒なこともある

もちろん、遠隔診療には課題もある。前出のメドレー豊田代表は、最大の障壁は「診療報酬」にあるという。

「遠隔診療の診療報酬については法律や制度が整えられていないのが現状です。今はクリニックが遠隔診療を行っても、得られる報酬が低い。遠隔診療に興味を示す医師は多いのですが、診療報酬の面で尻込みしてしまう。ただ、安倍首相肝いりの未来投資会議でも、平成30年度の診療報酬改定で診療報酬について対面診療と同じ程度まで引き上げるという提言がなされていますし、将来的には解決されることを期待しています」

薬の処方の問題もある。院内処方の薬の場合、医療機関から送付する形になり、患者は送料を負担することになる。一方で、やや面倒なのが院外処方。つまり処方箋が出される場合だ。

「処方箋が薬局に送られ、そこから処方薬が届くならば便利ですが、薬の処方には薬剤師による対面での服薬指導が法律で義務づけられています。つまり、薬局から郵送してはもらえない。院外処方では医療機関から郵送された処方箋を、患者さんが持って薬局に行くことになるので、受け取りまで時間がかかり、手間は解消されません。精神疾患など慢性的な病気では、服薬を続けることが大切なので、処方の手間が改善できればいいのですが」(来田氏)

課題があるとはいえ、遠隔診療は、「患者にも医師にも『選択肢』を増やしてくれる」(豊田氏)もの。患者が医療や医療機関、医師を選ぶ幅がますます広がっていくのは間違いない。「賢い患者」になることが、より求められていくだろう。

▼遠隔診療のメリット・デメリット
●メリット
診察:病院に並ぶ必要がなく、オフィス・家庭でも受診可能。
薬:処方箋もしくは薬が直接届く。
検査:不必要な検査を受ける必要がなくなる。
●デメリット
診察:初診は直接受診しなければならない。
薬:処方箋には期限があるため、確実に受け取る必要がある。
検査:検査を受けることができない。

※取材をもとに編集部作成
▼遠隔診療と相性のいい病気・治療
一般内科:高血圧、糖尿病、禁煙
精神科:うつ病、双極性障害
耳鼻科:花粉症、睡眠時無呼吸症候群
皮膚科:アトピー性皮膚炎、AGA
泌尿器科:ED、前立腺肥大
婦人科:ピルの処方
小児科:喘息、重症心身障害、発達障害、自閉症
整形外科:骨粗しょう症、慢性

※取材をもとに編集部作成
(撮影=大崎えりや)
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