目標未達でも評価を高める方法

逆に、目標を達成できなかった場合は、その理由として環境変化を挙げるのが有効です。例えば、取引先が倒産した、顧客の事情で取引を打ち切られたなど、当初想定していなかった環境変化が起きたために達成できなかったことをアピールするのです。このような環境変化を示すと、「そうか、大変だったな」と上司の共感を得やすくなります。

営業職などのように、成果を数値で定量化できる業務は目標達成の度合いが明確です。しかし、定量化できない業務の場合、目標を達成できたかどうかが曖昧で、上司と部下との間で齟齬が生じやすくなります。そのような事態を避けるためのキーワードが「状態条件」です。「この状態なら目標を達成したと言える条件」のことで、状態条件を明確に示せば、上司は正しい評価をしやすくなります。

例えば、目標の定量化が難しい人事業務の場合、「期末までに新しい人事制度を完成させる」といった状態条件を設定します。これだけだと、評価の時点で上司と部下との間で齟齬が生じやすくなります。部下は、新たな人事制度をつくり、取締役会で承認を受ければ「完成」だと思っていたとします。しかし、上司は、その後に組合と折衝し、全従業員への説明会を行い、全員が内容を把握している状態を「完成」と考えていたとします。これだと、上司からすれば、部下は目標未達ということになります。上司の正当な評価を得るためには、状態をより深く掘り下げて書くことが大切です。

この場合、先述の環境変化を組み合わせることで、評価を高めることができるかもしれません。例えば、「1月の取締役会で承認を得た後、社長交代があり、新制度の内容を一から見直すことになった。これは自分にはどうすることもできない環境変化だった」ということを示せば、たとえ目標は未達でも、やむをえない事情があったと認められ、評価が高まる可能性があります。