伝え方の9割は「声」と「表情」で決まる

アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンは、著書『Silent messages』(1972年、Wadsworth Publishing Company)の中で、コミュニケーションには次の3つの要素があるといっています。

・言葉(意味)
・声の大きさ、強さ
・表情、動作

メラビアンの調査によると、コミュニケーションを取る上で、3つの要素が話し手から聞き手に与える影響の割合は、次のような結果になっています。

・言葉(意味):7%
・声の大きさ、強さ:38%
・表情、動作:55%

この結果からもわかるように、コミュニケーションの9割は「声」と「表情」で伝わります。

『発達障がいの「子どもの気持ち」に寄り添う育て方』71ページより

たとえば、お母さんが一生懸命、子どもにわかりやすいように教えているつもりでも、「こうでしょ、こうでしょ、こうでしょ」という声が強く大きくなって、眉間にしわを寄せていれば、子どもはしかられている気分になります。

これをコミュニケーションギャップといいます。この状態のとき、子どもは対人緊張を起こしているため、認知力はさらに下がり、何をいわれているのかがまったく理解できません。

子どもとコミュニケーションを取るとき、親は自分が相手からどのように見られているのかも意識してみましょう。穏やかな声や表情で伝えれば、親の言葉も子どもにより伝わりやすくなります。

西脇俊二(にしわき・しゅんじ)
精神科医。ハタイクリニック院長。精神保健指定医。金沢大学薬学部非常勤講師。弘前大学医学部卒業。国立国際医療センター精神科勤務、国立秩父学園医務課医長などを経て、2009年から東京都目黒区のハタイクリニック院長に就任。テレビドラマの医事監修を担当。専門分野は、精神医学、発達障がい全般のほか、がん、代替医療。著書に『アスペルガー症候群の「そうだったんだ!」が分かる本』『アスペルガー症候群 家族の上手な暮らし方入門』(宝島社)などがある。
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