「変わり者」が集まる場所をつくりたい

――今の日本は「ベンチャーバブル」の状況で、資金調達が容易になりすぎているという指摘もある。

ベンチャーが育つことで国の経済が成長するため、ベンチャーバブルは悪いことではない。また、日本はベンチャー企業数もベンチャーキャピタル数も少なく、資金調達もできていない状況だ。

背景にはいろいろな理由があると思う。リスクを取らない文化もそのひとつだ。大学卒業後にベンチャーを起業する人も少なく、大学で成功した人は大企業に行ってしまう。ベンチャー企業が少ない背景には、そうした文化や教育の影響があるだろう。

――日本では起業の成功者に対して「成金」という見方が根強い。

グローバルな視点では、起業家になることはポジティブなイメージがある。

例えばアメリカでは、個性的でユニークなことは「かっこいい」とされるが、日本はそうではない。私は小学校3年生まで日本の学校で教育を受けて、その後インターナショナルスクールに通った。そこで最初に出た宿題を今でも覚えている。「もし自分が地球を作るなら、どんな地球を作るか?」というものだ。両親には「何と答えてもいい」と言われたが、日本の学校では「質問の答えはひとつ」という教育を受けていたため、その方法で答えを探そうと思って、とても戸惑った。もちろん答えはひとつではない。

ベンチャーを育成するには、起業したいという変わり者がいて、その人に「やれば良いんじゃない」という人が多くいる環境が必要だ。プラグ&プレイは、そういった変わり者が集まる場所にしていきたい。アメリカの世界をそのまま持ってきても成功しないため、日本でのやり方を考える予定だ。

――可能性はあるか?

1970~80年代の日本はとてもイノベーティブな国で、「携帯電話は日本のもの」と言われる時代もあった。だが、日本は当時からイノベーションできていない。過去と同じことをやっていればいいというのは間違った考えで、新しいものを取り入れていく必要がある。イノベーションには、イノベーションが起きてはなくなり、また起こるというサイクルがある。日本は何かが流行る時には一気に流行る国なので、一度ベンチャーやイノベーションの火が付けば、急成長できるはずだ。

日本には内部留保の使い道に困っている企業がたくさんある。ベンチャー企業がこれらの受け皿になれば、日本から多くのイノベーションが、再び生まれるようになるはずだ。私はその可能性を信じている。

(聞き手・構成=飯田 樹 撮影(フィリップ氏)=プレジデントオンライン編集部)
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