「宝の山」CDMとはどんなものなのか

新疆ウイグル自治区は、中央アジアに隣接する中国の西のはずれである。人口は約2千万人で、うち45パーセントが、中国からの分離独立を志向しているイスラム教徒のウイグル族だ。

今年3月には、区都であるウルムチを離陸して北京に向っていた航空機のトイレの中で、ウイグル人女性2人がガソリンに引火させようとして拘束される事件が起きた。また、独立を目指す過激グループ「トルキスタン・イスラム党」が、7月に中国南部の昆明で起きた通勤バス連続爆破事件の犯行声明を出し、8月4日には、カシュガルで武装警察部隊が独立派と見られるグループに襲撃されて警官16人が死亡、同10日には、クチャでも公安(警察)局が襲撃された。

中国国内ではチベットと並ぶ政情不安地域であるこの地で、今、二酸化炭素排出権ビジネスが盛んに行われている。

区都のウルムチは北京から飛行機で3時間20分。30~40階建ての高層ビルが林立し、ウイグル族、漢族、カザフ族、回族など様々な民族が暮らす人口約270万人の都市である。

市内中心部を車で出発し、南東の方角に高速道路を十分ほど走ると、茶色い土漠が広がり、左手の彼方に万年雪を頂いたボゴダ峰(標高5445メートル)が見えてくる。さらに15分ほど進むと、道の左右に無数のプロペラ型風力発電機が林立し、三枚羽根を一斉に回転させている。その数は、ざっと見て500~600基。白い風車の広大な森のようである。

設置されているエリアは、東西50キロ、南北20キロほど。遠くに青く霞んでいる山影の麓まで風車の森が続いている。車を降りると、風速20メートルほどの風が吹いており、メモをとろうとノートを取り出すと、強い風でページがばらばらと音を立ててめくれる。砂漠地帯であるジュンガル盆地とタリム盆地を擁する新疆ウイグル自治区は、内蒙古自治区と並んで風が強く、風力発電が盛んな地域だ。日本企業では、東京電力がここで風力発電事業を行っている。

また、同自治区では、豊富な水力を利用した水力発電も盛んで、東京電力や三菱商事が水力発電事業を手がけている。