恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、浮気、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。

第2回のテーマは、「ある年収1000万円世帯」を襲った母娘不和による悲劇。お金では処理しきれない話です。前後編の後編をお届けします。

前編のあらすじ:家事の一切を娘に押し付け、夜遊びを繰り返す妻。そんな母親のヒステリックな言動により、クラスのリーダー的存在だった娘は不登校になり、心療内科に通わざるえない状況となった。そして、母親からの”暴言”をきっかけに家出。妻(母)から娘を守るために、父親が取った行動とは――。

大事な娘が失踪――10円ハゲができた父親はLINEを送った

写真はイメージです

「家事を私に押し付けてきて、もう我慢の限界! 昼も夜も家にいないのは母親じゃない! もうママとは一緒にいたくない!」

そう吐き捨てた高校3年の長女(以下、娘)は顔を真っ赤にして部屋を飛び出し、そのまま帰ってこなくなりました。家出から3日。心配のあまり胃痙攣を起こし、頭髪には10円ハゲができた父親の達也さんは私は相談にやってきました。概要を聞いた私はこう助言しました。

「家出の件について娘さんを責めないほうがいいですし、家に帰れと強く促すのはかえって逆効果です。現在の心境を推し量った上で、まずは娘さんの気持ちに寄り添うような文面をLINEで送ることはできませんか」

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:梶浦達也(52歳)→会社員(年収900万円)☆今回の相談者
妻:梶浦智子(51歳)→パートタイマー(年収80万円)
長女:梶浦茜(18歳)→高校生
長男:梶浦暁(14歳)→中学生

▼推敲に推敲を重ねたLINEの文面

達也さんは推敲に推敲を重ねた末、神に祈るような気持ちで次のようなLINEを送りました。

「テストの前日にライブに行ったことを悔やんでいるよね。(それを咎めた)ママにも『悪いことをしてしまった』と内心思っているから、どんな顔をして家に戻ったらいいか悩んでいるんじゃないかな。(母に相談せず進路として決めた)専門学校のことはパパも悪いから一緒に謝るよ」

しばらくしてLINEが「既読」に切り替わり、娘から返事が届きました。どうやら「母親から暴力を受けている」などと言って、友達の家を転々としていたようです。そして家出から4日目。娘は落ち着きを取り戻したようで、達也さんが友達の家に出向き、自宅に連れ帰ることに成功しました。

しかし……。