なぜ女性部下に「困難な仕事」を与えないのか?
【女性部下の育成に必要なこと2:男女別で仕事の難易度を区別しない】
公益財団法人21世紀職業財団の「若手女性社員の育成とマネジメントに関する調査研究」(2015年)のなかで、困難な仕事の部下への与え方についての調査結果はこうです。
回答したのはいずれも男性管理職です。
●男性部下に、より困難な仕事を与えている(「どちらかといえば男性部下により困難な仕事を与えている」いう回答も含む)と回答した人:31.4%
●女性部下に、より困難な仕事を与えている(「どちらかといえば女性部下により困難な仕事を与えている」という回答も含む)と回答した人:19.6%
「管理職から期待されている」と感じる女性は少数派
さらに、同調査では「管理職から期待をされていると思いますか」と若手社員(男女)に尋ねた結果を比較しています。
「そう(期待されていると)思う」と回答した人は、
若手女性社員:17.6%
若手男性社員:28.0%
管理職から期待されていると感じている若手女性社員が少ない現状が指摘できます。
もし、実際に男性部下に比べて女性部下には難易度の高い仕事が与えられる機会が少ないのであれば、それは女性部下が成長の機会を逸失している可能性があります。仕事を与えられる女性部下の側もモチベーションが低下してしまうことが懸念されます。
筆者が過去に実施をした男性管理職研修のなかでも、新しいプロジェクトが発生したときに、リーダーとサブリーダーのアサイン状況の性別を尋ねると、多くの男性管理職がリーダーは男性、サブリーダーは女性と回答し、その逆はほとんどありませんでした。
前述したように、「女性の管理職がもっと増えること」にほとんどの男性社員が「抵抗感がない」と回答しています。そうであれば、女性部下に現時点でリーダー的役割までを任せることが困難であっても、男性管理職は難易度の高い仕事であっても、それを女性部下に割り振るような工夫や努力はもっとあってもいいように思われます。
ただし、現状、なかなかそうはできない「環境」があるようです。