一般に、独身王子の多くは未婚のままでいるリスクを十分に自覚している。調査でも半数以上が未婚リスクがあると答えている(図12)。

では、「未婚のままはリスク」だと自覚していながら、なぜ婚活状況や未婚率にこれほど差が出るのか。従業員規模や業界体質とともに、やはり会社の「結婚力」が影響していそうだ。とくに、結婚圧力と婚活環境については調査でもそれを裏づける結果が出た。

まずは結婚圧力。図6(【5】に掲載)を見ると、周囲の同僚の結婚が早い職場ほど、男性の未婚率が低い。「自分も早く結婚しないと」と、少なからず結婚を焦るからだろう。座談会でのソニーやキヤノンの例がこれにあてはまる。

次に婚活環境。図8(【7】に掲載)は職場に女性が少ない環境で、未婚率が1割近く上がる現状を表している。さらに、職場が忙しすぎれば、婚活やデートの時間もとりにくい。図9(【7】に掲載)からは、業務が忙しすぎる男性ほど、未婚率が1割近く高くなる様子が見てとれる。また、座談会でもあったように、一部の商社のように一般職女性を採用する会社のほうが、結婚相手を見つけやすい。理想の結婚相手として、いまだに「一般職」の女性を挙げる男性も多い(図10(【7】に掲載))からだ。

図11:未婚男女の将来不安は大きい<br>
図12:半数以上が「未婚リスク」を自覚している<br>
図13:未婚者は家でも結婚圧力を受けている<br>
図14:女性のほうが結婚へのあせりが強い<br>
図15:「結婚は若いほど有利」を痛感している<br>
図16:「婚活」は報われる
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会社の結婚力。それは、よくいわれる「企業イメージ」だけには留まらず、業界体質、従業員規模、職業、結婚圧力、人格育成、そして婚活環境と、あらゆる点でかなり大きく結婚を左右することがわかった。独身王子にはこの現実を見てほしい。未婚男性の5割以上が「未婚リスク」を自覚し、自分や親の健康(介護)に不安を感じていながら(図11、12)実際は会社の結婚力に左右され、婚期を逃しているという現実を。

就職段階で、各社の結婚力の格差に気づくことはまずないだろう。1つの会社や業界に身を置くだけでは、他との差異に気づかないことも多い。あるいは、うっかり結婚力の弱い業界や企業に転職してしまったという人もいるだろう。

だが、繰り返しになるが、結婚力の違いは歴然と存在する。「周りも婚期が遅いから」と楽観するのは危険だ。

本気で結婚を考えるなら、まず自分の会社の結婚力を見据えたうえで、然るべき時期までに婚活に入るべきだ。

※婚活:就活(就職活動)ならぬ婚活(結婚活動)が必要な時代との意味で社会学者の山田昌弘氏が提唱した言葉