米大統領選の行方を見守るように比較的小動きだった上半期から一転、下半期に入って一気に世界情勢が動き出した2008年。9月にはリーマンブラザーズの破綻をきっかけにした米国の金融危機が世界に飛び火して、株安と景気後退の大波が世界を襲った。日本国内では福田康夫前首相が突然の辞意を表明し、国民の信任を得ぬまま、自民党総裁選を経て麻生太郎政権が発足した。
年初来のエネルギー高、原材料高で失速感を強めていた日本経済は、4~6月期と7~9月期の国内総生産(GDP)が2期連続のマイナスで景気後退が鮮明になった。金融危機の影響が大きい欧米向けの輸出が激減、自動車など景気を牽引してきた輸出関連企業の業績は軒並み悪化して、メーカー各社は減産やリストラを余儀なくされている。
そうしたタイミングでPRESIDENT読者にアンケート調査を実施。一国の首相自ら「100年に一度の暴風雨」と評する不況のとば口に立って、ビジネスマンの政治経済に対する意識、働き方や生き方がどう変わってきたかを探った。
民主党支持が急増
今回の調査で最も興味深かったのは政治に関する項目(図1)。「日ごろの支持政党」では自民党が民主党を上回っているが、「今度の総選挙の支持政党」では民主党が自民党を逆転している。
アンケート回答者の属性は、性別では男性が9割、年代では30~60代が85%以上を占める。最終学歴は大学・大学院卒が7割近く。職業は経営者・役員と正社員・正規職員で8割以上を占め、職位も全体の4分の1以上が会長・社長クラス。さらに取締役・執行役員、部長・次長クラスを合わせると過半数を大きく超える。
要するに中小企業経営者や会社役員、管理職の割合が高く、本来、自民党支持率が高いはず。実際、日ごろの支持政党では自民党が17ポイント以上も引き離している。ところが、次期総選挙での支持政党では逆に民主党が6ポイント以上もリードしているのだ。
解散風が強まった時期に調査が行われたことを考え合わせると、日ごろは自民党支持でも「次は民主党にやらせてみてもいいのでは……」と考えている人が少なくないようだ。自公政権に嫌気がさし、「日本を変えなければ」という有権者の意識が強まっているように思う。
本当に任せて大丈夫かという不安がつきまといつつも、麻生政権より小沢・菅・鳩山の民主党のほうがまだましだと感じている人が増えているのではないだろうか。読売新聞によると、すでに65%が小沢でよいと回答している。アメリカ大統領選挙の結果が出た後に調査すれば、民主党支持はもっと高くなっていたかもしれない。
支持政党がない人は「日ごろ」は33.2%だが「今度の総選挙」で21.2%に減っている。次期総選挙に対する関心が高まっていることは間違いない。
「今後、支持したい政権」(図2)でも「自民党中心の政権」より「民主党中心の政権」のほうが支持率が高い。ただし、「自民・民主大連立の政権」を望む声も大きく、次の総選挙後には政界再編というテーマも浮上してきそうだ。