大学入試改革「案」で、私立中学の入試は“激変”

2020年度からの大学入試改革の骨子が示されて以降、中学入試問題の傾向に変化が見られるようになった。その筆頭に挙げられるのが国語の読解を中心とした「自由記述問題」の増加である。

文章内容をしっかり理解しながら、文中のことばを自分なりにまとめて記述するのが「条件記述問題」、それに対して主観で記述させる問題を「自由記述問題」と呼ぶ。

今春(2017年度)の首都圏私立中学校の入試問題を例として挙げてみよう。

国語で多くの自由記述問題が出題されたが、それ以外の科目でも以下のような問題が登場したのである。

算数では、ある難関男子中学校が「実生活において算数の考え方が活かされて感動したり、面白いと感じたりした出来事について簡潔に説明せよ」といった問題を出題した。

社会では、子どもの働きかけが社会を変える2つの事例を参考に、「世界を変える際に必要だとあなたが考える視点を答えよ」という問題が中堅女子私立中学校で出題された。また、別の私立女子校では、「戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えるためにあなたはどのようにしたら良いと考えるか」という自由記述問題が登場した。

大学入試改革案が、中学入試の試験科目にも影響

そして、変化しているのは入試問題だけではない。中学入試の制度(選抜方法)も多様化している。

従来の中学入試の受験科目は算数・国語・理科・社会の4教科、あるいは、算数・国語の2科目であった。それが近年多種多様な選抜方法が採用されている。

まずは、英語入試の導入である。いままでは帰国生への配慮から英語を課す特別入試を別枠で設けてきた学校は幾つかあった。しかし、いまは一般の小学生を対象にした英語入試を取り入れる学校が首都圏だけでも30校超ある。小学校の英語必修化を考えると、今後入試に英語を課す学校は増加の一途をたどっていくだろう。

続いて、「思考力・表現力・判断力」を直接的に問う特別選抜入試を多くの中学校がおこなうようになった。面接およびプレゼンテーションのみで筆記試験を課さなかったり、面接と作文のみで合否を判断したりする選抜手法が多くなった。