日本の電力源は火力が約60%、原子力が約30%だが、危機回避のため海水を注入した福島第一原発の再開は困難に。電力源を断たれた日本は、このまま立ち枯れるのだろうか。※内容はすべて雑誌掲載当時
原子力発電所の抱える問題が浮き彫りに――。東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故。日本中がその行方を見守った。
原発事故は、国際原子力機関(IAEA)が決めた8段階の国際原子力事象評価尺度(INES)で深刻さが示される。
事故が起きた翌日の3月12日夜、経済産業省原子力安全・保安院は今回の事故は「暫定的に(INESで上から4番目の)レベル4」との見方を示した。だがアメリカのシンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は3月15日、福島第一原発の状況はレベル6に近く、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じ最も深刻なレベル7に達する可能性もあると指摘した。
エネルギー産業事情に詳しい一橋大学大学院商学研究科の橘川武郎教授は、「レベル4で止まるか、レベル5を超えるかでは大きな違いがある」と話す。
「レベル5のスリーマイル島原発事故の後、アメリカの原子力開発はほぼ止まっている。一方、レベル4のサンローラン原発事故を起こしたフランスは、その後も精力的に原子力開発を行っています。レベル4と5の差は、その後の原子力政策に大きく影響するのです」(橘川氏)
つまり、レベル5を超えると原発に対する世論の風当たりが強くなり「そんな危険なものはなくしてしまえ」といった声が大きくなるというのだ。他方、東京電力の「計画停電」で電車の運行本数が減り、家庭の電気器具が使えなくなった。これは福島第一・第二原発がストップしたことが主要因で、人々の生活がいかに原発に依存しているのかを示した格好だ。