花粉症がきっかけで株価は動く? 動かない?

「風が吹けば桶屋が儲かる」とことわざにもあるように、意外な事柄が波及して、経済に何かしらの影響を与えることがあります。

そこで、ひとつの疑問が浮かびました。花粉症のシーズンに花粉症関連のビジネスを扱っている企業の株価が跳ね上がるようなことはあるのか、と。もし上昇することがあれば、これは大儲けのチャンスかもしれません。

そこで今回、バリュー株をメインに取引をしているという、資産1億円超の個人投資家・熊倉義之氏(仮名、45歳)に先の疑問をぶつけてみました。ところが、がっかりするようなコメントが返ってきました。

「花粉症関連グッズを扱っているというだけで、企業の株価はあまり上がらないと思いますね。いまさら言うまでありませんが、株式市場においては、みんながその銘柄をほしいと思うか、思わないか。つまりは需要と供給で株価が動きます」

花粉症のシーズンに花粉症関連グッズの売れ行きがよくなったとしても、そうした条件はすでに株価に織り込まれています。株価に与えるようなインパクトはあまりないというのが実際のようです。

ただし、「そこを何とか!」と突っ込んで聞いてみると、マスクなどの花粉症関連グッズを扱う銘柄において、みんなが「ほしい!」と思った瞬間が訪れたこともあったそうです。

「2013年3月のことですね。ちょうど『PM2.5』という言葉が大々的に報道され、中国から飛来してくるPM2.5をどう防ぐかが話題になった時期でした。その際、神栄(東1・3004)、環境管理センター(東JQ・4657)、興研(東JQ・7963)、東亜ディーケーケー(東1・6848)などが物色されていましたよ。銘柄によっては株価が2倍~5倍になっていました。たとえば、神栄は3月初旬に株価100円台から400円台まで上がりました。天井の400円台で売れなくても、3月の終値は200円台だったので、2倍近くにはなっていたことになります。また、環境管理センターは、1月28日に326円だったものが、3月11日には高値で1734円をつけ、約5倍になりました」

このような事実もあるので、今後、花粉症対策の決定打になるようなグッズが開発されたり、花粉症患者が爆発的に増えたりするようなことでもあれば、株価に大きなインパクトを与える可能性は十分に考えられます。