現役時代から社外に目を向ける

60歳以上、75歳未満の登録社員700人を抱える高齢社の上田研二最高顧問も技能、そして公的資格の重要性を強調する。同社の登録社員が持っているのは、上田氏が東京ガスOBということから、ガス溶接作業主任者、危険物取扱者、高圧ガス販売主任者、消防設備士、ボイラー技士といった工業系が目立つ。

「我々の仕事でいうと、役に立つのが高圧ガス関係や管工事や電気工事、ボイラー、フォークリフトなどの資格。あとはガソリンスタンドで働くとなると危険物取扱者なども必須で、人が不足している分野です」(上田氏)

一方、総務や営業畑の人が所持している簿記や販売士といった資格は、再就職になかなか生かしづらいという。

「定年前に業務上取得した程度の、実践で役に立ちづらい資格をアピールするなら、ワードやエクセルを使いこなせるように訓練し、パソコン検定の取得を目指したほうがいいかもしれません」(同)

人脈を築く努力も大切だ。上田氏は、2000年に会社を立ち上げたころから、新聞や雑誌で興味を持った人物を見つけると「お会いしたい」という主旨の手紙を送った。

「これまでで何人もの著名な方にお会いできました。ある新聞のコラムを読んで拓殖大学総長の渡辺利夫さんにも手紙を書きました。それが縁となり、いま私が力を入れている高齢者活躍支援協議会の会長をお願いしています」(同)

日々の生活が会社と家庭の往復となるとどうしても視野が狭くなりがちだ。客観的な視点を育てるためには、仕事から離れる「サードプレイス」ともいうべきコミュニティを確保することが大切だと高平氏は話す。

「現役サラリーマン時代から社外にも目を向けておくべきです。最近流行りの2枚目の名刺を持って、土日を利用して別の仕事をしてもいい。バンドや釣りなどの趣味でも、子どものPTAでも構いません。サードプレイスで認められることが人生後半を有意義にしてくれるでしょう。本当の人脈になるかもしれませんし」(高平氏)

外部とのかかわりを持つことは人間力を高めることにもつながるという。40代からいかに努力するかで、将来の姿が決まるといっていい。

上田研二
高齢社最高顧問。1938年生まれ。東京ガス勤務を経て、2000年に高齢社を創業。10年から現職。
 
高平ゆかり
マイスター60取締役。派遣会社エムシー・メイツ勤務を経て11年、マイスター60入社。14年から現職。
 
(AFLO=写真)
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