「5年以上」派遣でも昇給は半数以下
労働契約は期間が決まっている「有期労働契約」が85.0%、期間に定めのない「無期労働契約」が9.5%となっており、具体的な契約期間では、3カ月が68.5%、3カ月未満が11.4%、12カ月以上が5.8%。現在の派遣先で働いている期間が3年未満の人は84.8%となっており、前年の77.4%から大幅アップしている。
これは、労働者派遣法で、派遣社員の上限が3年となっており、3年を経過すると契約社員や正社員として企業が直接雇用をするか、契約を終了する必要があるため。その際に雇用問題に発展しないように、雇用期間を短期化する傾向が強まっている。
派遣社員の契約勤務時間は、1日8時間が29.1%と最も多く、7.5時間から8時間までで66.2%を占める。1週間当たりの勤務日数も5日が90.2%となっている。一方、残業については、1週間あたり「残業なし」が55.7%と最も多いが、一方では「20時間以上」も5.1%存在している。
さて、派遣社員の給与水準だが、98.3%の派遣社員は「時給制」となっている。その水準は図(左)の通り。
例えば、1750円で1日8時間、月間20日間働いた場合、給与の額面は28万円となる。
では、派遣社員の昇給はどうなのか。過去3年間の派遣就業中に昇給した割合は34.8%。これを期間別で見ると図(右)のようになっている。
派遣社員としての経歴が積み重なれば、昇給する可能性は高まるようだが、それでも5年以上派遣社員をしていても昇給するのは半数以下が実態のようだ。こうした状況に対して、意外にも賃金面で「不満」、「やや不満」と答えた人は45.6%で、雇用の安定性面で「不満」、「やや不満」と答えた人の52.8%を下回っている。
労働者派遣法での派遣社員の上限である3年を境に、働き方の若干の変化が見られる。3年以内を考えたときに希望する働き方では、「今の派遣先の派遣社員として働く」が29.0%にのぼり、「今の派遣先の正社員として働く」の13.1%、「今の派遣先以外の正社員として働く」の15.6%を上回っている。
しかし、4年目以降に希望する働き方では、「今の派遣先以外の正社員として働く」が21.8%、「今の派遣先の正社員として働く」が15.4%で、「派遣社員として働く」の12.9%を上回っている。それでも、意外にも正社員として働きたいという希望は少ないように思える。
どうやら、給与に対する不満や、正社員への希望という点を見るだけでも、あえて派遣社員という働き方を選択するのには、それ相応の理由があるようだ。