なかなか貯金が殖えない……これは多くの人が抱える悩みだろう。家を買う頭金を貯めたい、教育費の増加に備えたい、など理由は様々だが、貯金を殖やしたいという希望は誰にでも共通している。その一方で貯金を殖やせない悩みもまた多くの人に共通している。

先に答えを書いてしまうと、「そもそも家計は貯金を殖やしにくい構造になっているから」ということになる。このような構造的な問題を理解しないまま、節約レシピや電気をこまめに消すといった細かな節約をやっても全く意味が無い。

まずは構造的な問題を丁寧に説明するところから初めてみたい。

家計を「変動費と固定費」で考える

経理の仕事に携わる人、あるいは簿記の資格を勉強した人ならば、企業の費用を2つに分類する方法を知っていると思う。それが変動費と固定費だ。家計を理解するうえでこの考え方は非常に重要な考え方となる。

例えばラーメン屋ならば家賃や人件費が固定費、材料費が変動費となる。固定費は売り上げがゼロでも発生する費用、変動費は売上に比例する費用となる。

そして固定費が高いほど利益が出にくい。シンプルに計算するために、ラーメン屋の費用を家賃と材料費だけで計算してみよう。

例えば家賃が月額30万円、1杯800円のラーメンの材料費が400円だとする。この場合、損益分岐点、つまり赤字でも黒字でも無い売上高はいくらになるか。計算方法は非常に簡単で、固定費を利益率で割れば良い。

30万円÷50%=60万円

60万円の売り上げはラーメン750杯分となる。つまり1カ月あたり750杯のラーメンを売らないと赤字になることが分かる。

もしこのお店が繁盛して2号店を出すとして、もっと良い場所にお店を出せばお客さんも増えると考えて家賃60万円のお店を借りた場合、損益分岐点は売上120万円となる。良い場所ならば売り上げは増えるかもしれないが、その分だけ家賃が増えれば利益を出す事は難しくなる。