書くことで高まる目標意識
「書く」ということそのものに意味を見出す人にとって、手帳は日々のタスクなどの「やらなくてはいけないこと」と、夢や目標などの「やりたいこと」を管理するための絶好のツールになる。特に年収2000万円の人に賛同者が多く、半数以上が「中長期の目標を手帳に書いている」と答えた。
「毎日自分が書いた目標を見ることで意識するし、自分や会社の方向性が間違っていないか、ズレはないか確認するための指標にもなる」(アワーズ代表取締役・粟津浜一氏)
「文字で書きつけたほうが、頭で考えるだけのときより目標が明確になる」(ウィンコーポレーション代表取締役・中村真一郎氏)
「手帳は肌身離さず持ち歩くものだから、自分のモチベーションをあげることにもつながる」(大手広告代理店勤務)
いっぽう、年収200万円の人には「(達成するための時間も自信もないから)夢や目標を直視したくない」「(夢を)書くのは恥ずかしい」と感じている人が多かった。
「会社に立てさせられた目標を達成するだけで精一杯。これ以上頑張ったらパンクしてしまう」(中古自動車販売)
「手帳に目標を書いたりして、誰かに見られたら笑われそうだ。だから一度も書いたことはない」(エディトリアルデザイナー)
「今の仕事に満足しているし、大きな目標は必要ないと思っている」(大手書店販売員)
これを現状満足度の高さの表れと取るか、向上心が低いと取るか、意見が分かれるところだろう。
[調査概要]年収200万円のビジネスマンと年収2000万円のビジネスマン(もしくは、役員級以上)1000人を対象に、アイランド・ブレイン、ベクトル、ベンチャー広報、リアライズ、リサーチプラスが調査。2015年10月22日~11月2日。
営業支援事業を行うアイランド・ブレイン代表取締役社長の嶋基裕氏は、手帳の最後のページに毎年の目標を書きつけている。
「33歳のときに思い立って、人生の『55カ年計画』を立てたんです。そこから棚卸しして、会社をこんなふうに成長させたい、家族とこんなことがしたい、趣味を極めたい、旅したいなど、毎年の目標を書くことにしています。書くことで気合を入れるような意味合いもあるかもしれません。
営業という仕事は、受け身でいると自分の時間をコントロールできなくなります。『これやって!』というお客様の要望に逐一対応していると、それをこなすだけで手一杯になってしまう。それは絶対に嫌なので、私は社員にもお客様の要望を先読みするよう指導しています。『次回あたり、この資料が必要になりそうだ』『そろそろ進捗を報告しよう』など、先回りして準備すれば、常に自分の時間をコントロールできます。人生を自分のペースで動かすためにも、手帳を活用すべきでしょう」
55業種・1100社以上の営業・販路開拓をサポートし、3万3000件以上の商談実績を残す。著書に『崖っぷち父さんは、いかに戦略的にスーパー営業マンへ変身したか?』。