企業にとってカスタマーサポートは重要な顧客接点の一つだ。グリーは仙台に100人体制のカスタマーサービスセンターを置き、ひな型を用いることのない手書きのメールサポートを行っている。センターの責任者である紙屋類氏は普段、仙台でスタッフのマネジメントを行うほか、カスタマーサービスの外販事業のプロジェクトも統括。プロジェクトチームは東京にあるため、仙台と東京を頻繁に行き来する毎日だ。
IT企業勤務ならデジタルツールを駆使して情報を管理しているのかと思いきや、紙屋氏はアナログ派だ。
「スケジュールはチームで共有する必要があるため、Googleカレンダーを使って管理しています。しかし、そのほかのタスク管理やアイデアメモは、紙のノートに書いて管理。昔から手書きのほうが好きなんです」
タスクは1週間単位で管理している。週末に翌週のタスクをすべて洗い出して、優先度に応じて3つに分類する。もっとも優先度が高いのは、「組織運営や事業運営などの時間をかけて自分の頭で考えるべき仕事」。逆に優先度が低いのは「資料を読むなど、自分一人で隙間時間を使い進める仕事」だ。
優先度による分類とは別に、スタッフとの面談もタスクとして書き出す。一般的に面談はスケジュールに落とし込んで管理されることが多いが、なぜあえてタスクとして管理するのか。
「面談の予定を決めても、急に東京出張が入ってキャンセルせざるをえないことがよくあります。それなら最初から予定を決めず、メンバーと自分のタイミングの合う時間に面談したほうが早いし、メンバーに迷惑をかけずにすむ。柔軟に対応するなら、タスクとして管理したほうがずっとやりやすい」
紙屋氏は、プレゼン資料の構想や下書きにもノートを活用している。ノートに書いた段階で8割の構想を固め、あとは隙間時間を使い一気に資料を作成する。
ノートは目的によって使い分けるため、つねに数冊持ち歩く。モレスキンのラージサイズなど大判のものが多く荷物がかさばるが、今後もデジタルツールに切り替えるつもりはないという。
「ITに情報を集約させてコンパクトに持ち歩くビジネスマンはかっこよくて憧れますよね(笑)。でも、手書きには手書きのよさがある。そのメリットは計り知れないです」