大竹のり子(おおたけ・のりこ)
ファイナンシャルプランナー。2005年、エフピーウーマンを設立し、人生に必要なお金の知識を身につける「お金の教養スクール」を展開するかたわら、各種メディアでも活躍中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書多数。

【住宅】定年までに完済が住宅購入の条件

どんな老後を送るにしても、雨露をしのぐ家は必要です。住居費は人によって幅が生じやすく、特に現在「おひとりさま」の人は持ち家率が低いでしょうから注意が必要です。

1ページ目の住居費9.5%を金額に直したら約1万3600円。マンションの管理費程度です。この金額はローンを完済した持ち家の場合であり、賃貸住宅に住み続ける人や、老後も住宅ローンの支払いが続く人は、その分がまるまる負担増となります。リタイアまでにローンを完済できるのであれば、住宅を購入しておいたほうが安心です。今から購入するのであれば、リタイアまでに完済可能な範囲に収まる物件を探すのがいいでしょう。老後もローンを払い続けるのであれば、賃貸住宅に住んでいるようなもの。住宅を購入するメリットがあまりありません。むしろ生活が苦しくなったときに安い物件に住み替えが容易な賃貸住宅に住み続けるほうが賢い選択といえるでしょう。

【貯金】今の生活と老後のバランスが大事

老後は、基本的に預貯金を取り崩していく生活になりますから、預貯金は多いに越したことはありません。でも、老後のためだけに我慢に我慢を重ねて、爪に火を点すような生活を送るだけでは味気ない。一方で、目先の楽しみだけにとらわれていたら、老後の備えはできません。どちらが正解というわけではなく、バランスが大事です。リタイアまでにいくら貯めておくかということも含め、ご自身の人生観と照らし合わせて後悔しない選択をしましょう。

参考までに単身世帯の金融資産保有額を挙げておくと、40代の平均は657万円、50代では平均1287万円。一方で、40代の39.5%が保有資産ゼロだそうです(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(平成26年)」)。

リタイア時には、預貯金に退職金も加わります。現在、派遣で働いている人も、「今さら」と考えずに、正社員の道を探し続けたほうがいいですね。退職金や企業年金の有無で、老後の生活に大きな違いが出てくるはずです。