レースの“流れ”をモノに出来るか
青学大の完勝に終わったものの、今回の箱根駅伝を語る上でもう一つの要素がある。
それはレースの“流れ”だ。
駅伝競走においては、レース展開、つまり“流れ”が重要なファクターである。曖昧な言葉なだけに解釈の仕方は様々あるが、ひとつには心理的な側面が大きく作用していると推測される。流れというからには上流があるはず。どこからレースの流れは生まれるのだろうか。前区間のランナーによる快走が生む昂揚。逆に、仲間の失速から生まれる使命感。無論それが逆に作用することもあるだろう。生み出された流れを堰き止めず、乗りこなすことが出来るかどうかで、総合順位は大きく変化してくる。
シード圏内で明暗が分かれたのは、順大と予選会から勝ち上がった神大、駒大と東海大の2グループといえる。総合結果は順大、神大が4位、5位。駒大、東海大が9位、10位。仮に前者をグループA、後者をグループBとする。後者に関しては主力選手の故障といったアクシデントも影響している。従って一概に言う事は出来ないが、流れをモノに出来たか否かという観点で区別する事も出来るのではないだろうか。
駅伝競走におけるランナーの心理状況は検証の余地を残すが、“流れ”を生み出す可視的な要因として以下の2点が考えられる。
(1)エースなどポイントになる選手が想定またはそれ以上の走りをする
(2)各区間に点在する要所でのペースダウンを最小限に防ぐ
中継用に設定されている各区間の定点計測タイムを参考に、上記2点について検証してみると、グループAとグループBではエースランナーの働きと、要所での粘りに違いが表れている。
ここでいう要所は具体的には以下と仮定したい。
●2区:権太坂~戸塚中継所に至るまでの約8km。ラスト3km、中継所に続く急登が選手を苦しめる
●4区:小田原本町~小田原中継所に至るまでの約3km。前回大会まで5区の一部であった登り坂が待ちうける
●5区:小涌園~芦ノ湖までの後半パート。箱根の山を登坂するクライマーにとって真の実力が試される
●6区:函嶺洞門~小田原中継所に至るまでの約3km。山を駆け下ってきた選手を待ちうける“魔の平地”。登りにも感じられ、ペースダウンを誘う。
●8区:茅ヶ崎~遊行寺に至る約9km。海岸沿いを離れて臨む遊行寺坂が最大の難所。この頃から気温も上昇傾向に。