同じように働いていても、老後の生活には驚くほど差が出てしまう。そこで、役員経験のある「金持ちじいさん」1000人を対象に、生活習慣調査を実施。さらに、「金持ちじいさん」をよく知るお三方にその分かれ目について語ってもらった。
※調査期間:4月20日~5月10日調査対象:元役員、あるいは事業責任者等の経験を有する60歳以上の男女調査方法:インターネット調査(サーキュレーション)
投資をベースに物事の常識を疑い王道を尊重する
「株か投資信託か金か、投資先はそれぞれですが、『金持ちじいさん』は預金だけではなく必ず投資をしています」と語るのはシニア向け人材マッチングサービスを行うサーキュレーションの代表取締役・久保田雅俊氏だ。といっても、デイトレーダーとして投資だけで収入を得るのではない。ベースとして投資からの配当金などがあり、さらに自分で働いて収入を得る人が多いという。そして、「お金の話をほとんどしない」のも彼らの特徴の一つ。
「人は、自然と自分の気になっていることや心配事について話してしまうもの。そういう意味で、彼らにはお金の心配がないので、こちらから聞かなければお金の話が出ることはほとんどありません」(久保田氏)
いっぽう井出進一税理士事務所代表の井出進一氏は、投資を含めたすべての物事に対する彼らのスタンスに特徴があるという。
「『常識を疑い、王道を尊重する』。これが『金持ちじいさん』のすべての行動を表しています。私が見てきた顧客は、世間の大きな流れや流行については『本当にそうなのか』と自分の納得がいくまで調べますが、長い時間をかけて形成されてきた『王道』は大切にします。つまり、抜け道や一発逆転を狙わずに基本をきわめ、地道な努力をするのです」(井出氏)
これはまさに、投資の神様・バフェットのスタンスとも重なる。彼は、一発逆転を狙って「逆張り」をしているのではない。競争優位性があり、本来高い価値があるのに、わけあって割安になった株を買っているのだ。トレンドに乗って「順張り」していたら、あそこまでの巨万の富を築くことはできなかっただろう。
「多くの金持ちじいさんはバブル期の『借金をしてでもガンガン土地を買おう』という流れには乗りませんでしたし、インターネットバブルのときも、自分が仕組みを理解できなければ投資はしませんでした。自分で考えて行動するから、大切な資産をうっかり失うことがなく、結果的に資産を守ることができるのです」(井出氏)