福島第一原子力発電所事故に学んだ教訓
福島第一原子力発電所の事故から、間もなく6年が経とうとしている。この間、国内にある原発の安全対策は確実に進んでいる。これらの対策は、原子力規制委員会が策定し、2013年7月に施行された「新規制基準」に沿ったものだ。新規制基準では、地震や津波、竜巻といった自然災害などへの対策を強化するとともに、炉心損傷防止など設計時の想定を超える事象への対策についても新たに盛り込まれた。
静岡県御前崎市に位置する中部電力浜岡原子力発電所も例外ではない。遠州灘に面し、南海トラフ巨大地震も想定されることから、耐震性の強化など安全性向上には積極的に取り組んできたという経緯がある。
「ここは相良層と呼ばれる強固な岩盤の上に原子炉建屋等が直接設置されています。建設当初からピラミッドのような安定した構造にし、現在は内閣府の『南海トラフ巨大地震モデル』に基づく地震動である最大1000ガルを上回る地震対策を行っています。ただ、私たちが福島第一の事故から学んだことは、耐震もさることながら電源と冷却手段の確保の重要性です」
こう話すのは、浜岡地域事務所総括・広報グループの村松立也専門部長。
原発が地震に見舞われた場合、その安全性を守るためには「止める→冷やす→閉じ込める」という3段階のステップを踏む。福島第一でも、震度6強の揺れに建屋は耐え、原子炉は自動的に停止した。ところが、地震後に発生した津波による浸水で全電源を喪失。海水取水ポンプも動かず、冷却機能を失い、炉心損傷という事態にいたってしまったのである。