景気やバブルに連動し、ときに暴落するのが株価である。しかし100年以上の長期の視点で見れば、一貫して上昇を続けていることがわかるという。長年の富裕層研究から導き出した法則を公開する。

なぜ長期的な視点が必要なのか

社会は日々進化を続け、経済的な環境はめまぐるしく変化する。ITを軸に新しいイノベーションが次々に登場する現代は、変化のスピードがさらに加速しているといってよいだろう。

一方で、人間の営みが太古の昔から変わらないのも事実である。「歴史は繰り返す」とよく言われるが、経済が人々の行動の集大成である以上、形を変え、同じようなことを繰り返すのはある意味で当然のことかもしれない。

写真=getty images

欧米には、数多くの戦争や恐慌、バブルを経て、何百年もの間、一族の資産を維持・拡大し続けている資本家が数多く存在する。日本には明治維新や太平洋戦争という大きな断絶があるため、欧米社会ほどの継続性は見られないが、一部の資本家は、やはり時代を超えてその富を継承している。

何世代にもわたって生き残る資本家の多くは、歴史を重視している。最新の知識やスキルも大事だが、これらは時間が経過するとすぐに陳腐化してしまう。しかし、歴史から得られた知見は決して古くならず、生涯にわたって資産形成の大きな助けとなる。

日本経済は、25年にわたる長期停滞期を経て、大きな転換点を迎えようとしている。将来に対する不透明感が高まっている今こそ、歴史に学び、自らの資産形成に歴史的視点を生かすことが重要である。

わたしたちは、長期的に見て、経済や株価がどのように動くのか、実はよく理解していない。人の記憶は案外いい加減なもので、最近のことしか鮮明に覚えていないものである。経済ニュースも同様で、過去に遡った分析が行われるのはせいぜい10年程度であり、それより前のことが取り上げられるケースは少ない。

だが、長寿化が進む日本では、資産形成において意識しなければならない時間軸は長くなっている。現在30代の人なら、30年以上先のことまで考えなければならないのが現実であり、長期的視点の重要性は以前にも増して高まっている。