初期段階から4技能を学ぶことになる

三宅義和・イーオン社長

【三宅】今年8月末には、大学入試の改革案が出て、2019年にセンター試験が終わります。2020年から導入される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、読む・聞く・話す・書くという4技能のうち、話すと書くは民間試験に委ねる。将来は4技能すべてを民間委託する案も検討されています。

立教大学ではすでに、2016年度一般入試(16年2月実施分)から、英語資格・検定試験(4技能)を活用しています。また、松本先生は、文科省の「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」の委員でもあります。そこで、英語を話す、書くということが入試に導入されることの意義をどう捉えておられますか。

【松本】大学は国際化ということを真剣に考えなければなりません。専門科目をどんどん英語で教えていくことは不可欠です。となると、大学に合格してから英語を学び直すというのでは、ちょっと遅すぎるんですね。あえて言えば、大学では「英語」の授業はなくていいという状態が理想です。

【三宅】大学入試が4技能になりますと、あたりまえのことですが、日本の英語教育も大きく変わっていくことになります。英語に取り組む初期の段階から4技能を学ぶということにならざるを得ません。

【松本】その意味で、次期学習指導要領まとめ案の小学校の英語教科化というのは、大きな社会的インパクトになると思っています。習い事に「小4の壁」があると言われますよね。小学校4年生になると、それまでの習い事をすべてやめて、学習塾に通うようになるわけです。

ただ、これからは、ピアノや書道などと違って、英語に関してはそれまで通り子供向けの英会話教室に通い続けるようになるのではないでしょうか。というのも、首都圏について言えば、中学校入試の科目として英語が当然入ってきます。その際、テストでは基本的に聞く、話すといったやりとり、オーラルが中心になると思うんですね。つまり、英会話教室でやってきたものが生きるわけです。いずれにしても、大学入試で4技能重視となれば、中学校の現場でも、話すことや書くことのスキルを高める指導を重視せざるをえません。

【三宅】日本人が目指すべき英語について話を進めていきたいと思います。それぞれの人の立場によって必要とされる英語力は当然違ってくるわけです。仕事柄、英語を毎日使っている人と、たまにしか使わない人、街で外国人旅行者に道を聞かれて説明できる程度でいい人、というように、それぞれ求めるレベルがあるでしょう。先生は日本人が目指すべき英語は、どのようなものであると考えていらっしゃいますか。

【松本】一般の人は、アカデミックなことはそれほどできなくても差し支えはないはずです。おっしゃる通り、仕事や環境によって違うでしょうが、基本的には聞く、話すだと思うんですよね。要は「通じる」ということが大切です。それができないと、何事においても対応ができません。ビジネスであれば、小さな個人経営の貿易会社にしても、総合商社であっても、海外から仕入れたり海外に売ったりという業務がありますから、読む、書くということもある程度必要になると思います。