――貯金がまったくできないのですが、何かいい方法はありますか?
どうしてお金を貯めようと思うのですか。
――いつでも結婚できるように、結婚式の資金を用意しておきたいんです。
よく考えてみれば、お金がなければ結婚できないというのは、おかしな話だと思いませんか。ボーイフレンドやガールフレンドがいればいつでも結婚できます。結婚式を必ずしも挙げる必要もないですしね。
――うう、まずはガールフレンドをつくることからですね……。でも、結婚の予定がなくても、将来のためにお金を貯める必要はあるのではないでしょうか。
それは定年があるという、漠然とした不安を前提としているからです。
政府の予測をみると2030年、日本は800万人の労働力不足になると見込まれています。定年はどんどん延びていき、そのうちなくなるでしょう。そうなれば、老後のお金のことを心配する必要はありません。
――出口さんは若いときに貯金していましたか。
僕はお金を使うことは好きですが、貯めることはあまり得意ではありません。ただ、僕のような人でも毎月確実にお金を貯める単純な方法があります。
――それ、知りたいです!
「財産三分法」という、手取りの給与を三つに分ける方法です。まず、日常で使うお金は「財布」に入れます。なくなってもいいお金は「投資」に、そのほかのお金はいつでも引き出せるように「預金」に三分します。
たとえば手取り給与が20万円であれば、なくなっても困らない金額を押さえてしまいます。仮にそれが2万円であれば、自分の給与を18万円だと思って生活する。
そして今すぐ、その2万円を投資信託に毎月積み立てていきます。銀行引き落としかクレジットカード払いに設定しておけば、あとは自動的に貯まっていきます。個人的には、運用実績のいい日本株の「ひふみ投信」、海外の証券を組み入れた「セゾン投信」、会社の理念に投資する「鎌倉投信」などが良心的だと思いおすすめしています。
――私にもできそうな気がしてきました。ほったらかしにしておくだけでいいのでしょうか?
長期でコツコツ貯めるには毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」が有効です。これは、価格が安いときには多く買い、高いときにはあまり買えない方法です。安いときに自動的にたくさん買えるので、元本以上に増える確率が高くなります。一度申し込めば解約手続きをすること自体も面倒なので、結果的に数年間放置したままになり、気付くとお金が貯まっているはずです。
Answer:毎月一定額を「投信積立」にまわし、数年間放置しておきましょう
ライフネット生命保険会長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。