もう一つの方法は、得た情報を1枚の紙に図解して考えてみることです。
新聞記事の場合、「ヒト・モノ・カネ」の動きを掴むことが重要です。プレーヤーの“関係性”をビジュアル化し、ビジネスの構造を解明していく。その際、先に述べた「3W1H」の読み方で実践してみてください。
図解化にはコツがあります。「ヒト」を表す際、法人は長方形、個人は人の形で描く。商品・サービスなど「モノ」はマルのマーク。価格・売り上げなどは「カネ」を表す「¥」マークで表記します。販売と支払いの流れは2種類の矢印を使い分けます。
今回、「読み取り力」を測る3つの例題を用意しています。記事を「3W1H」で読んで、そこからどんなことが読み取れるか図解してみてください。様々なビジネスの構造が見えてくるはずです。
ただし、ビジネスの構造を明らかにするだけでは、アイデアは生まれてきません。得た情報を仕事に繋げるためには、情報の軸、つまり、「ヒト・モノ・カネ」をずらして考えなければなりません。
「ヒト」をずらすとは、すなわちターゲットを変えること。記事に登場するのが個人向けの商品であれば、それを法人向けの商品に置き換えてみる。
「モノ」をずらすとは、商品の機能を変えること。機能を削る、あるいは付加することで、記事に登場するビジネスモデルは成立するのかを想像してみる。
「カネ」をずらすとは、価格を変えることです。モノやサービスの価格を変えるのはもちろん、課金方法を変えるという手もあるでしょう。
ポイントは、ビジュアル化して自分の仕事に置き換えて考えてみることです。私はこれを「ビジュアルシンキング」と呼んでいます。記事の内容が自分の仕事とは別の業界のことであれば、業界そのものをずらして読んでみる。
こうした思考の訓練を何度も繰り返すことによってアイデアの型がインプットされます。小学校で99を覚えたときのように、無意識レベルになるまでパターンを体に叩き込むことで、仕事をより加速し、発想を飛躍させる武器となるのです。