提言:女性活躍推進は、国や企業の生き残り戦略であると心得て
●女性活躍推進コンサルタント 清水レナさんから
今からさかのぼること12年も前に「指導的地位に占める女性の比率を2020年までに30%にする」という目標を掲げて以来、企業に対しての具体的な目標設定や指導がなかったことから、歳月を経ても一向に進まなかったわが国の女性活躍。
安倍政権の成長戦略の重要項目として盛り込まれた「女性活躍推進」の取り組みの一環として、女性活躍推進法が成立しました。301人以上の企業は、2016年4月までに厚生労働省へ女性の活躍状況や行動計画を提出することが義務付けられました。併せて、社内外に対して、自社の女性活躍に関する情報の公表も求められています。
女性活躍推進法が定める「4つの必須項目」(【1】採用者に占める女性比率、【2】勤続年数の男女差、【3】労働時間の状況、【4】管理職に占める女性比率)を分析することにより、自社の女性活躍はどの段階に課題があるのかを明らかにすることができ、是正に向けた取り組みへの第一歩につながることが期待できます。
しかしながら、課題もあります。例えば、各企業が数値目標を設定するにあたり、最低限、達成するべき目標の水準が明確にされていないことから、各社の実情に応じて、達成しやすい数値目標が立てられる可能性があるでしょう。
そもそも安倍政権における女性活躍推進の背景にあるのは、日本が抱える「労働力減少」という緊迫した課題です。国や企業の「生き残り戦略」としての女性活躍であるということを理解したうえで、目先の数値目標達成をゴールにするのではなく、本質的な意味で女性活躍推進につながっているのか、真剣に取り組む必要があるでしょう。
時間的制約のある女性が活躍できる国は、間違いなく、誰にとっても働きやすい幸せな国であるはずなのですから。
撮影=的野弘路